雪の宿命を乗せて
悠馬はこの二つの包みを小脇に抱え、美雪が待つ所へ戻ってきた。
二人は早速包みを開けてみる。
一つには可愛いピンクの手袋とマフラーが、綺麗にたたまれて入っていた。
「これ美雪にだよ、暖まるから、良かったね」
悠馬はそう言って、早速美雪の冷え切った手と肩に着けてやる。
そしてもう一つは、分厚い毛糸の手袋が入っていた。悠馬はそれをはめてみる。大きな隙間ができるが、暖かい。
悠馬は美雪の顔を覗いてみる。しかし、妹の顔がもう一つ冴えない。
「ねえお兄ちゃん、お母さんはどこへ行ってしまったの? 美雪、逢いたいなあ」
そう呟いて、しくしく泣き出した。
悠馬は、そんな幼い妹をしっかり抱き締める。
しかし、悠馬も寂しい。
「なんで?」
そう一人呟いた。
そして止めどもなく涙が溢れ出てくる。
その一つ一つの涙が、冬で乾燥し切った荒れた頬を濡らしていく。悲しい。悠馬にしがみついてきている妹は、まだしくしくと泣いている。
悠馬は止まらぬ涙を拭きながら、美雪をしっかりと抱きかかえた。
そして二人は、より激しく降り出した雪の中を、涙が零れるままにして家路へと急ぐのだった。