雪の宿命を乗せて
兄と妹、二人はまだ幼い。
そんな悠馬と美雪は小さな肩を寄せ合って、川原の堤に立ち、列車が走ってくるのをじっと待っている。
その列車には母が乗っているはず。
初雪が舞い、身体が凍える。しかし、悠馬と美雪は震えながら待った。
そしてその甲斐があったのか、川向こうに真っ白な煙りを上げて、走りくる機関車が見え出した。
「お兄ちゃん、来たよ」
美雪が嬉しそうに、そう叫んだ。
「美雪、ここでじっと待ってるんだよ、お兄ちゃんが拾ってくるからな」
悠馬はそう妹に言い聞かせ、鉄橋の下の川原へと駆け出した。
真っ黒な機関車が何両もの車両を繋いで、こちらに向かって迫ってくる。そして目の前に現れた。
列車は鉄橋を、ガタンガタンと重い音をたてて渡っていく。
そんな様子を、悠馬は川原から見上げるように眺めている。美雪も辺り一面真っ白に変わってしまった雪景色の中で、一人ぽつりと立って眺めている。
先頭の機関車はもう橋を渡ってしまっただろうか。
そんな時、二つの白い包みが列車の窓から投げ落とされた。
それらは初雪が舞う中を、ふわりふわりと川原に落ちてきた。悠馬は駆け寄った。
そして二つの包みを、大事そうに拾いあげる。