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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・四】うさもさ

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時計が示した時刻は午後八時
「…はぁ」
矜羯羅が溜息をついて制多迦を見るとウサギを撫でながら笑みを浮かべていた
「…仕方ないね」
呆れたように呟くと戸口へ向って歩き出した矜羯羅の足音に京助が見ていたテレビからその足音の方向に目を向けた
「帰んのか?」
矜羯羅に向って声を掛けると矜羯羅が振り返った
「今回は何も告げないで来てるからね…僕だけ戻るよ」
口元に笑みを浮かべて矜羯羅が言う
「…連れて戻るわけにはいかないし…」
そしてチラッと制多迦の腕の中のウサギを見た
「ずいぶんと懐かれたなお前」
制多迦の腕の中で安心しきって眠っているウサギを覗き込んで京助が笑った
「…んがら…」
制多迦が矜羯羅を申しわけなさそうに見上げた
「…くれぐれも制多迦を寝せないようにね」
そんな制多迦ににっこりと微笑を返すと矜羯羅が部屋から出て行った

「…そういやさ…矜羯羅って寝てんのか?」
京助が矜羯羅の出て行った戸を見て制多迦に聞いた
「…まにしばらく目を閉じてることがあるけど…横になって寝てるところ僕は見たことないな…」
制多迦が小さく言う
「…っと僕が寝ないようにずっと見ててくれてるんだと思う」
ゆっくりとウサギを撫でて制多迦が言う
「なのに何であんなに元気なんだろなァ;」
「義兄様と一緒にしないでよ」
いつの間にか後ろに立っていた慧喜が頬を膨らませて言った
「矜羯羅様は義兄様とは違うの」
そして座ると制多迦を見る
「矜羯羅様と制多迦様は俺達とも義兄様達とも…違うんだよ」
慧喜が言う
「は? そりゃどういう意味なんだよ;」

ガコン!!

京助が阿呆面で慧喜に聞くと制多迦が(たぶん力は加減したんだろうと思われるんだけど)テーブルを叩きテーブルが少し反動で浮いた
「…き…」
制多迦が慧喜をゆっくりと見た
「…す…いません…」
慧喜が慌てて謝る
「…途中まで言って最後まで言わないっていっちゃん気になるのですが;」
京助が慧喜と制多迦を見る
「…ぶん…そのうちわかるよ…」
制多迦がヘラッと笑って京助を見た
「…お前等そればっか;」
はぁと溜息を吐いて京助が寝転がった