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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・四】うさもさ

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「…子供のウサギだなっと」
ウサギを制多迦に渡して京助が言う
「…ったかい」
ウサギを両手に抱いた制多迦が微笑んだ
「そりゃ生きてるからあったかいんだやな」
コマがケラケラ笑った
「あったかいから生きてるんだやな」
イヌもケラケラ笑う
「…きてる…」
制多迦がそっとウサギを撫でた
「…っか…だからあったかいんだ…」
ボソッと呟くと数回小さく頷いてまたウサギを撫で始めた制多迦が何かを思い出したようにふと空を見上げた
「…ょうすけもあったかいから生きてるんだね」
「はぁ?;」
ヘラリと笑った制多迦に京助が呆れた声を出した
「…お前って;」
ヘラヘラと笑顔を京助に向けている制多迦を見て京助が肩を落とした

「目ぇあけないんだやな」
制多迦の足に掴まって伸びをしたコマが言った
「寝てるんだやな?」
イヌも同じく伸びをする
「いや…ちょいまち…」
京助が制多迦に抱かれているウサギの顔をじっと見た
「…起きてはいるぞ」
京助がウサギの鼻を触ると鼻がヒクヒクと動きウサギが体を起した
「…も目…開けないね」
制多迦がウサギを撫でた
「…開けないんじゃなくて…開けられないんだな」
京助がウサギの目にそっと触った
「…けられないって…?」
制多迦がきょとんとして京助に聞いた
「病気か何か…だと思う…けどさ;…そのうち開くかナァ;」
フンフンと何かを鼻先で探すような行動をするウサギを制多迦と京助が見る
「…お前等ウサギ語とかわからないのか?」
京助がコマとイヌを見下ろして言う
「無理言うななんだやな」
イヌがむすっとした顔で言う
「わかるわけないんだやな」
コマが膨れてそっぽを向いた

「たっだいま~!!」
縁側で日向ぼっこを再開していた制多迦が玄関先から聞こえてきた元気のいい声にビクッとなり拍子で柱に頭をぶつけた
「おかえりだっちゃ悠助、慧喜」
緊那羅の声がしてバタバタと廊下を走る音がした
「あれ~…タカちゃんだッ!!」
「…わ;」
そして制多迦を見つけた悠助が後ろから制多迦に抱きついた
「制多迦様ずるいッ!!」
しかし速攻 慧喜によって制多迦から引き剥がされると悠助が制多迦の腕の中を見てきょとんとした
「…ぬいぐるみ?」
制多迦が首を横に振って微笑みながら腕の中の物を撫でるとソレが動いた
「ウサギだぁ!!」
悠助がキラキラした笑顔でウサギを見た
「ちいさーいっ」
ウサギに近づいて悠助が恐る恐る手を伸ばす
「制多迦様…どうしたんですか?これ…」
慧喜がウサギと制多迦を交互に見て聞く
「…こにいた」
庭の木を指さして制多迦が言う
「黒くてタカちゃんとおそろいだねー」
悠助が笑顔で言った
「…くと?」
悠助の言葉に制多迦が自分を指さして首をかしげた
「うん! 黒いしっ」
悠助が笑うと慧喜が笑いたいのを我慢しているのか口元を押さえて蹲った
「…っか」
しばらく何か考えた後 制多迦がヘラリと笑った