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秘められた想い

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値段は高めだったが、最高の味付けの幕の内弁当だった。大満足で食べ終わると、また眠くなってしまった。
二度目に目覚めると、何とその列車の終点の浜松に到着するところだった。尋常ではない数の人が、駅のホームに並んでいた。間もなくふたりは、列車からおりて仕方なく列の後方に並んだ。
「凄い人ね!」
「まるでお祭り騒ぎだね」
平日の午後なのにと、有給休暇を二日とった田村は思う。少し考えて理由が判った。
「今日はただの平日じゃなかった、ということだね」
「どういうこと?」
「早めの帰省ラッシュが、もう始まっていたんだよ」
「そう?二日も早く?」
「みんなで同じことを考えたんだね。有給休暇帰省集団の大集合ということだな」
構内アナウンスが聞こえた。電車が四分ほど遅れていると云う。ここで弁当を買ってくるべきだったと、田村は後悔した。それを云いそうになったが、思いとどまった。後悔することは決して良いことではない。そう、思った。
作品名:秘められた想い 作家名:マナーモード