ドラえもんの机
少し機械的な音声を発した。
「やあ、ボクを呼んだのはキミかい?」
その顔に窓から入る光が当たると、丸かった瞳孔がキューっと狭まって縦に細くなった。
「うん、ボクは伸夫。君はドラえもんなの?」
「いや、ボクには名前はない。ボクは超リアルギミックのネコ型アンドロイドだ。型式はBCT-2021PT。でも、君がドラえもんと呼びたければそう呼べば良い」
「じゃあ君はドラえもんだ」
伸夫はニッコリと微笑んだ。
「ところで君は何をしに来たの? やっぱり未来の僕の子孫が送ってくれたのかなぁ?」
伸夫は床に腹ばいになって、顔がくっつく程になってドラえもんに話し掛けた。
「さて、それはボクには分からない。ただ、ボクは伸夫の望みを適える為にやって来たのだ」
ドラえもんは深いブルーの瞳をキラキラさせていた。
「わぁ、ホントにぃ? ボクねぇ、運動が出来る様になって、頭が良くなって、ケンカが強くなって、西賀や曽根を見返してやりたいんだけど……できるかなぁ……?」
伸夫の望みがかなり難しかったのか、ドラえもんは暫く沈黙してしまったが、やがて全身が眩いイルミネーションに包まれた。
そして机に飛び乗ると、ボディのあらゆる部分が開口して行った。
そしてあっけに取られている伸夫に襲い掛かるや、身体の各部に潜り込み一体化してしまった……。