つぶやき詩集 (2)
新しい旅の始まり
人生は旅
様々な旅をしてきて今がある
雨に煙る木曽路標高800メートルを駆け上がる
秋の色に染まり始めた木々を横目に塩尻を抜ける
しばらく、居を構えた思い出の街
景色の変化はあるけど道は変わらない
岡谷に差し掛かる
好きだった陶芸家を思い出した
元気かなあ?
今日は寄らずに行くけど
また来るよと
視線で語りかけた
そろそろ諏訪湖
様々な景色に出会った場所
たくさんの写真を残した湖
かの武将が眠り、歴史を伝える
急ぐ旅ではないが、
懐かしさに気がはやる
ラジオから流れる古いフォークギターが気持ちを和ませてくれる
諏訪湖の東のやすらぎ橋を渡ると
茅野に入る
走り馴れた道だけど
いつも違う発見をする
正に人生の旅のようだ
152号線に乗ると
秋の色合いが増している
メルヘン街道を一気に千メートル越え
そこはもう秋の深まりを感じる景色が広がる
カモシカの親子が林の中から
こちらを観ている
さあ!目指すは麦草峠
秋の色に染まる林に車を停めてラジオのボリュームを上げる
アコースティックジャズを聴きながら佇んでいる
なんと贅沢な気持ちなんだろう
そろそろ峠越え二千メートルの自然に身を任せよう
さあ!白駒の池
八年ぶりに来た
池は秋風にさざ波をたてて
迎えてくれた
ナナカマドの赤
松葉の黄色
かえでのオレンジ
それに、苔の緑が変わらない表情を見せてくれている
なにも変わらない池
やっぱり、いいところだと実感する
自宅から230キロジャスト
近いようで遠い幼い頃の思い出
朝もやに魅せられた青春時代
悩んだとき
困ったとき
行き先を見失ったとき
必ず池の淵に立ち
静かな水面を見つめていた
風雪に身をさらす時
己の小ささを教えてくれた池
己の人生の旅に
何度も何度も訪れた場所
さあ!また新しい旅の始まりだ
作品名:つぶやき詩集 (2) 作家名:Riki 相馬