つぶやき詩集 (2)
あの日あの時
酒を酌み交わした民宿のオヤジ
いっぺーやっか?
ご飯を大盛にしてくれた食堂のお婆ちゃん
腹っぺらしだべー
お国訛りが暖かった
シワくちゃな顔で笑いかけてくれた
身体と心がいっぺんに温まった
思い出が走馬灯のように今でも蘇る
笑った、泣いた
怒った、喜んだ
あの日が心に刻まれた
しかし、あの日に帰らぬ日となった
空の色も、海の色も変わったのか
火鉢の焼けた炭の香り
燻された魚の味
五臓六腑に沁みた地酒
忘れる事はできない
あの夏、あの冬
身体に沁みた物は忘れることはない
どこで暮らそうと
どこで生きようと
身体で覚えた物は消すことはできない
あの日あの時
あの顔あの声が亡くなっても
消せやしない
思い出という宝物になって残っている
そして、語り継ぐだろう
作品名:つぶやき詩集 (2) 作家名:Riki 相馬