もう一人の私 (Another me.)
久しぶりに天気の良い休日だ。どこかへ車で遠出をしたい。
しかし、高見沢にはやらねばならぬことがある。
会社からノートパソコンを持ち帰り、中断させていたアナザー・ミーの創造作業の続行。それをしなければならない。パソコン内に、早く『もう一人の私』を完成させてしまいたい。
最初は、『知・情・意』の分類の中の『意』に関わる質問からだ。基本情報の時と同様、常識的な質問から始まって段々と品のない質問に変わっていく。
しかし、その3000の『知・情・意』の質問の中には、アホな質問ばかりではなかった。熟考すれば、結構奥が深く広がりのあるものもある。
高見沢は熟慮の中で、休日二日間かけてやっと3000の質問の解答を終えた。
参考に、その幾つかの質問を紹介してみよう。
『意』の分野 (1000項目の質問)
質問は、「潜在的にこうしたい」という意欲や欲求を聞いてくる。
基本的には、仏教で言う五欲。飲食欲/金欲/性欲/名誉欲/睡眠欲と、後は精神欲/社会的欲求/知的欲求等の広範にわたっての質問だ。しかし、質問自体は単純。
参考: 高見沢の解答例
1億円欲しいか? ○ 塩タンを食べたいか? △
東京に住みたいか? △ ボランティアに参加したいか? △
こんな調子の1000項目の質問だった。
作品名:もう一人の私 (Another me.) 作家名:鮎風 遊