こんな気持ち
そして最後が本来の目的地。
そこに着いたのは夕方の4時過ぎ、まだ日没には少し早かった。
周りがまだ明るくて、せっかくのイルミネーションが活きていない状態だった。
中に入って色んな建物を見たり、写真を撮ったり、展望台に登ったりしているうちに辺りは薄暗くなり、イルミネーションが満天の星のような耀きを見せはじめた。
京ちゃんは買ったばかりのビデオカメラで、せっせとその素晴らしい景観を撮影していた。
その中には時々、私の姿が映り込んだりもした。
素敵だ。
特にバラのアーチの柱が電飾のアーチとなり、その青と白の光が、私たちを未知の輝く世界へいざなうようだった。
「またバラの咲く時期にも来てみたいね」と、私が言うと
「そうだね」と、京ちゃんが応えた。
園内を走るバスに乗り、ゆっくりゆっくり走るその車の中で、私は京ちゃんにクリスマスプレゼントを渡した。
「笑ったらだめだよっ!」と前置きをして……。
それは、私が自分でデコレーションしたうさぎのぬいぐるみだ。
身長20センチばかりのグレーのうさぎのぬいぐるみに、手作りの特製ハートクッションを持たせた。
ハートはもちろんピンク色。
その周囲の2mm内側に、きらきらのネイル用のストーンをぐるりと飾り、内側の真ん中には大き目のサイズ違いのストーンでアルファベットのLOVEの文字を作って貼り付けた。
命名「LOVEうさぎ」(後日京ちゃんが名づけた)
『普通の大人なら、こんな物もらっても、きっと喜んではくれないだろう』というような子供っぽい物だった。
それなのに、京ちゃんは本当に喜んでくれた。
最初私は、ネクタイでも……とも思ったけれど、どうせならいつもそばに置ける物がいいと思い直し、そうだっ!車の中に置ける物にしようと決めた。
そんな折、たまたま見かけたこのうさぎのぬいぐるみが妙に心に残り、思いきって買ってしまったのだ。
仕事から帰ってからのわずかな時間を使って、少しずつ少しずつ作っていった。
ストーンを貼る時は、接着剤がなかなかうまく付かなくて、何度も何度も貼り直したりもした。
車のダッシュボードの上に置けるように、うさぎのお尻には両面テープを付け、そうして、その両面テープに更にマジックテープを貼り付けた。
そうすれば、落ちない程度に貼り付けられるし、掃除の時などはうさぎだけを外すこともできるから。
私はとっても恥ずかしかったけど、京ちゃんが子供のような私の言動を、笑うこともなく、おおらかな気持ちで包み、そして素直に喜んでくれたので本当に嬉しかった。
このloveうさぎが、その後、私たちの仲を守ってくれた。
1時間半はあっという間に過ぎて、私たちはまた慌てて走ってバスまで帰った。
またびりだった……。
帰りのバスの走行途中、一度だけトイレ休憩があり、みんなでバスを降りた時も、やはり走った。
ただしこの時だけは、びりから2番目だった(あまり変わらないが……)。