嘆きの運命
「ハッハッハ!警察じゃとー? ウォッホッホッホッ…こりゃあ面白い!最近の警察とやらは神を捕まえることもできるようになったんだか? アーハッハ…」
その老人は大口を開けて、さも面白そうに腹を抱えて笑った。
「はぁ〜神だとー? じいさん、頭もいかれてんのか? ハァー」
岩沢は、頭のボケたホームレスをどうしたものかと、ため息混じりに考えた。
すると突然、その老人が「エイヤッ!!」と杖を振るった。
「オオーーーッ!?」
驚いたことに、いきなり岩沢の身体は宙に浮き、そこでグルッーと一回転してしまった。
頭を下にして浮かんでる状態に、焦った岩沢は、ひぇーっと叫びながら必死で、空中で手足をバタバタと動かした。
「ドタッ!」
今度はいきなり、クルッと横に回ってドッタリと床に落ちた。
「アァーッ!イテテテ……!!」
「どうだ、わかったか?」老人がにやりと笑った。
「わかったかって、何がだよ? あーいてて……」
尻を押さえながら、岩沢がすっとぼけたように言うと
「んん? まだわからんのか? ではもう一度……エィッ」
またあの変な杖を振ろうとする老人に、慌てて岩沢は止めに入った。
「ちょっ、ちょっとタンマ! わかった、わかったから、もう止めて!!」
岩沢は、老人の足に縋り付いてそう言った。
「で、ちょっと聞くけど、あんた本当に神だって言うんなら、何の神なんだよ!?」岩沢がやけくそのように言った。
「わしか? わしはじゃなー、運命の神よ」