夢の途中10 (302-352)
(・_・;)確か花田さんは今藤野で喫茶店をやっておられると言ってましたよね?]
「ああ、まあ、色々と・・・ね?^^;・・・」『(^_^;)そう、色々と・・・ね♪』
今度は香織と優一が顔を見合わせた。
[そうだったんですかァ~、藤野でバイパス工事を♪(^。^)y-.。o○成る程、それでぇ~♪(*^_^*)]
北門の表情が緩んだ。
[実は僕、天城さんのスタジオにはちょくちょくお邪魔していたんですがね、先生も純子ちゃんも最近花田さんがプッツリ来なくなったって心配してたんですよ(^_^;)
成る程ねぇ~~、そう云う訳かァ~~♪(^。^)y-.。o○]
「北門君、何も^^;・・・」
[いや、先輩、何もおっしゃらないで下さい!(-_-メ)
皆までおっしゃらなくても分かりますよォ~♪(^。^)y-.。o○
処で林先輩、まだギターは弾いてらっしゃるんですか?]
「ああ、永らくチョンガーで、出張・転勤続きのホームレス生活が長いモンで、独りぼっちの夜長は時々ポロンポロン♪てな(^。^)y-.。o○」
香織は優一が昔バンド活動をしていた事は知っていたが、未だにギターを弾いている事は知らなかった。
[花田さん、知ってます?その夢島建設にも軽音楽部が在ったんですよ♪
僕も短い間でしたが林先輩とバンド活動してたんです♪
僕も先輩も同じギター担当だったんですが、先輩上手くてねぇ~♪
だからいつもソロのパートは先輩がやって、僕はサイドギターでシャカシャカ弾くしかさせて貰えなかったんですから(-_-メ)・・]
「アハハハ、あの頃は会社の同好会とは言え、【縦社会】だったからな^^;・・
新米部員がリードギター弾くなんざ生意気だ!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!って雰囲気もあったしな♪(^。^)y-.。o○」
[でも、先輩の【サンタナ】、絶品でしたよォ~!
特に【ムーン・フラワー】は良かったなァ~♪(^。^)y-.。o○ あ!そうだ、先輩、この後のステージで弾いてみませんか?昔取った杵柄ってやつで♪是非、お願いしますよォ~♪(^u^)
その代わり、僕は花田さんと久しぶりにルンバ、踊らして貰います♪(*^_^*)ね、花田さん、先輩の演奏、聴きたいですよね?]
『ええ、まァ^^;・・・大丈夫?』
「オイオイ、俺の演奏なんて人に聴かせるようなモンじゃないよ!(・_・;)
だって人前で演奏した事なんてもう20年以上無いんだぜ?」
[大丈夫ですって♪(^^)v 先輩なら出来ますって♪
お?もうこんな時間だ!(@_@;)
じゃあ先輩、頼みましたよ♪(^u^)]
北門は優一の返事を聞く間もなく走り去って行った。
「オイオイ、コレはエライ事になって来たぞ(/_;)・・・・」
優一は北門の強引な申し出に、頭を抱えていた・・・
【カルロス・サンタナ】は1970年代を代表するロック・ギタリストの一人だ。
ジミー・ページ、ジェフ・ベック、エリック・クラプトンと並び称され、【四大ギタリスト】と称賛される場合もある。
但しその評価は分かれるところであり、前述の3人が其々持ち前のギターテクニックを称賛されるのに対し、サンタナの場合は寧ろテクニックは左程無かった。
それでも、その情念さえ感じる独特の音色やフレーズがオーディエンスの情感に訴えて、未だに根強いファンを獲得しているのだった。
何れにしても当代を代表するギタリストで在った事は間違いない。
カルロス・サンタナは1947年メキシコに生まれ、1962年アメリカはサンフランシスコ州に移住した。1969年のウッドストックにも参加している。
サンタナを世に出した名曲『ブラックマジックウーマン』は、ブリティッシュ、アメリカンロック全盛期には特異なラテンテーストな曲であった。
その後もサンタナはパーカッションを多用するラテンロックの楽曲を次々に送り出す。
中でも『哀愁のヨーロッパ』『ムーン・フラワー』はスローでラテン色豊かナンバーである。
しかも超絶な技巧は殆ど含まれていないので素人でもそれなりにコピーしやすい曲と言えた。
優一も旅先や赴任先での長い夜を慰める術として、小型のアコースティックギターを買い求め、若かりし頃の追憶も込めてこれらの曲を弾いていたのだ。
しかし夢島建設の軽音楽部に所属し、会社の催事に出演して披露していたのも優一の結婚前までの事であり、今セミプロ同様に活動している北門とは全く違う次元である。
優一の迷いとは無関係に、本日最終の【ノースゲーツ】演奏の時間となった。
北門は口あけにワルツとクイックステップの楽曲を演奏した後、客席に居る優一に手招きをした。
[え~~、皆さん、実は本日私はこのパーティー会場で、約30年ぶりにかつての上司に再会致しました♪
実は、その方は私の音楽の師匠とも言える方でして、
私にギターの弾き方のイロハから、女性の口説き方のホヘトまで?^^; 手ほどきして戴きました我大先輩に、
サンタナの名曲【ムーン・フラワー】を演奏して頂ける事になりましたぁ~~♪
拍手ぅ~~~♪ヽ(^。^)ノそれでは林先輩、ステージにどうぞォ~~♪]
北門のMCを受けて会場がどっと沸いた!
!(^^)!(^u^)(^^)vヒュ~~ヒュ~~♪ヽ(^。^)ノ(^^♪パチパチパチ♪
(^_-)-☆(*^_^*)(@^^)/~~~(#^.^#)パチパチパチ♪
(・・・(-_-メ)北門のヤツ、在る事無い事、調子に乗りやがって・・・ま、此処まで来たら、覚悟を決めるか・・・)
「(^_^;)フウ~~、仕方ない、香織、言って来るよ(^_-)-☆」
『(・_・;)アナタ、頑張って!』
少し不安げな香織の言葉に送られ、優一はゆっくりステージに歩き出す。
ステージに上がると、北門がギブソンのレスポールを優一に手渡した。
[先輩、出来る処までで良いですから♪僕も横で待機します。
30年ぶりに先輩の横でサイドギターをやらせて貰いますよ♪(^_-)-☆]
「ああ、頼むな♪どうしようもなくなったらソロパート、君が引き継いでくれ。僕はサイドに回るから♪^_^
それと・・・・・北門・・・覚えてろ?^^;・・・」
二人のギタリストがステージ上で並んだ。
【ムーンフラワー】はまずギターのフレーズから始まる。
(・・(・_・;)出だしだよな・・出だしさえクリアできれば・・・・)
優一の指は緊張で微かに震えていた。
ワン♪ツウ♪スリー♪フォー♪
後ろでドラムスのスティックが合図する♪
♪ツツツ~ン♪ ツツツ~~~ン♪
出だしは何とかイケた♪
ビブラートも良い感じだ♪
その後もスムーズに弾けた♪
侘しい一人ぼっちの夜をギターで癒して来た事を、
優一の身体は覚えていたのだ♪
優一の横で最初不安げだった北門も、今は一安心してサイドギターで軽快にリズムを刻んでいる♪
フロアでは再び人々が曲に合わせて踊り出す♪
その中に香織の姿もあった♪
一人でステップを刻み、ステージに近づいてきたのだ♪
それを見ていた北門がギターのストラップを肩から外し、
優一に向かってウインクをした。
作品名:夢の途中10 (302-352) 作家名:ef (エフ)