夢の途中10 (302-352)
現場事務所で古畑君の【ベンツ?】に乗り換えて、バイパスの出来上がり部分を見て廻っていたんだ♪(^。^)y-.。o○
流石にこっちは雪が多いね。まだ札幌は根雪にはなっていないからね♪」
『そうね、こっちもいつもより半月は早いわよ・・・
ね、古畑さん?』
[そうですよねぇ、11月の上旬にこれだけ積ったのは久しぶりですよ。
仮開通式の先月30日もちらほら降っていましたが、アレ位の降りで助かりました。
開通式なのに出来たての道路が雪で埋もれてたんじゃシャレになりませんからねぇ^^;・・
あ!ママ、良い香り♪(#^.^#)]
『うふふふ♪古畑さんが今日、林さんとお見えになると聞いてたので、
腕にヨリを掛けて造りましたのよ、ビーフカレー♪(^_-)-☆』
香織は厨房の中で火に掛けられた大鍋の蓋を開けて見せた。
[わァッ!美味そォ~!]
「ああ、ホントだ♪早く戴きたいね♪(#^.^#)久しぶりだよ、
ママの料理を食べるのは♪」
香織とは直に逢ってはいたが、彼女の手料理を優一が実際に食べるのは、彼がまだ藤野に居た8月以来だった。
『じゃあ、ご用意しましょうね♪』
香織がカウンターの中でカレー皿を用意した時、古畑の携帯が鳴った。
「あ、・・・・ちょ、ちょっと失礼します!^^;・・ああ、モシモシ?・・ハイハイ・・」
古畑は携帯電話で相手と会話しながら、店の外に出た。
「香織♪(#^.^#)」『アナタ♪(#^.^#)』
古畑が席を外した隙にカウンター越しの二人の手が重なった♪
「本当に香織の手料理、久しぶりだよなァ♪(=^・^=)」
『うふふふ♪(^_-)-☆そうね、もっと近ければ毎日でも作って差し上げられるのに・・・』
「この後、市役所へ挨拶に行く予定なんだ。
今夜は古畑達が歓送会をやってくれるそうだし、今夜はとことんまで彼等に付き合うつもりだ。
だから多分、今夜は連絡出来ないよ?」
『ええ、分かっているわ♪ でも、遅くなってもメールだけは頂戴?』
「ああ、分かった♪メールは入れておくよ♪(^_-)-☆
14日はまた午後から車で札幌に帰るから(^。^)y-.。o○」
『まぁ、御重役は運転手付きのお車でお帰りになるのね♪
(^v^)』
「いや、まァ、市役所に藤野担当を正式に離任しますって云う【公務】だからね^^;・・
別に僕が偉くなった訳じゃ無いよ(^0_0^)」
『でも、優一さんが偉くなると、遠くに行っちゃうみたいで、何だか寂しいわ(/_;)・・・』
「馬鹿だなァ~♪僕は此処に居るじゃないか♪
香織のすぐそばにこうして♪(^_-)-☆」
優一は香織の手に両手添えて握りしめた♪
「土曜日、逢えるのを楽しみにしてるよ♪(^v^)」
『ええ、私も♪(#^.^#)・・・アナタ♪・・・』
香織の頬にパッと朱が射した♪
二人の瞳がじっと見つめ合う♪
古畑は未だ店の外で電話をしているようだ♪
「香織♪(#^.^#)・・・・」
カウンターを挟んで、ゆっくり二人の顔が近づいた♪
(#^.^#)(*^_^*)
そして♪・・・・・
バタン!
[ああ~~~!(@0@;)]
突然店のドアが開いて、古畑が戻って来た!
二人の顔がぱっと離れる!
(^_^;) (>_<)
[ああ~~~~!腹減ったぁ~~~~!(@_@;)
ママ、カレーまだ?^^;・・・・・]
腹ペコの古畑の目には カレーしか目に入らなかった。
香織の店を出た後、夢島建設の現場事務所に帰り、待っていてくれた運転手付きの社用車に優一は乗り換え市役所に向かった。
市役所の土木課、観光課等の関係各所に離任の挨拶をした後、浅間市長の待つ市長室に入る。
市長室には浅間市長の他、工事の実行部隊である地元の下請け企業の社長や、藤野市の有力者も待っていた。
その中に熊田ファームの熊田も居た。
型通りの挨拶の交換の後暫く歓談をし、4時過ぎにお開きとなった。
市役所の玄関で関係者から見送られる時、熊田が優一にツカツカと寄って来る。
[・・・(――〆)アンタ、明日時間有るかい?
なあ~に、そんなに手間は取らせねぇよ。
チョット、明日ツラ貸してくれねえか?]
「・・・ええ、良いですよ・・・明日午前中、まだお世話になった孫請けの土建屋さんに挨拶に行きますが、お昼前なら伺えます。」
[・・(――゛)そうかい、それなら待ってるぜ・・・必ず来いよ・・・・]
熊田は言うだけ言って優一から離れた。
見送りの群れの中を割って通り、そのまま消えて行った。
優一はその夜、藤野の中心部の居酒屋で古畑等5名の現場監督を中心にした有志の【歓送会】に招かれた。
総数で20人程の宴会となった。
古畑以外の現場監督は地元企業の下請け・孫請けの企業に勤める社員であった。
前にも述べたようにゼネコンが自前の実動部隊を現地に派遣する事は少ない。
現地での実動部隊は地元の土木建設業者の人員に負う場合が多い。
設計・技術などの工事前の部分に於いては本社で企画・設計されて、大まかな方針を決めるのだが、様々な条件が重なる現場の工事では【机上の空論】だけで事は前に進まない。
当然現場で、現状に即した判断が日々要求されるのである。
その判断をするのが現場監督と云う者の職務なのだが、ゼネコンと云う【親企業】からのトップダウンだけでは事は上手く運ばない。
地元に密着した下請け・孫請け企業の意見も重要であった。
今回、夢島建設本社の現場監督は古畑だけであり、その他の4人の現場監督は下請け・孫請け企業から若い人材を其々の企業から人選してもらい、工事期間の間は【夢島建設】への出向扱いとし、夢島の制服を着させ、賃金も夢島建設から支給した。
現場では古畑が長となり、4人の地元企業の現場監督は指揮した。
その事により現場には一体感が生まれ、品質・安全に対する考えが一致した良い現場になったのだ。
歓送会は案の定、【一次会】だけでは終わらず、二次会、三次会と流れて行き、優一が宿舎の新プリンセスホテル・リゾートに帰ったのは午前一時を過ぎていた。
(・・・もう流石に香織は起きてないやろなァ・・・・)
そうは思ったが、優一は風呂に湯を張る合間にメールした。
2008年11月14日1:31
件名:ただいま♪
「今、帰って来た。今日は三次会まで行った^^;・・・
多分古畑はまだこの後他の4人の現場監督を連れて、朝まで呑むんじゃないかな?
いやぁ~、こっちはもう歳だなァ~!(^_^;)
明日も午前中数件挨拶回りが在るから、終わればそのまま札幌に帰ります。
土曜日、楽しみにしてるよ♪(^_-)-☆
駅まで迎えに行くからね♪
香織、愛してる♪チュツ♪」
優一は今日熊田から札幌に帰る前にファームに寄るよう言われた事は知らせなかった。
知らせれば香織を心配させる事になる。
熊田が香織に以前から好意を寄せていた事は知ってる。
香織の藤野での生活を蔭で支えていてくれた事も容易に想像出来た。
どんな話が向こうに在るのか分からないが、真正面から受けて立つしかないと優一は思った。
一方その頃、香織はまだ起きていた。
優一からのメールを待っていたのだ。
作品名:夢の途中10 (302-352) 作家名:ef (エフ)