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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・参】幸せ捜査網

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「…思えば俺お前等のこと全然知らねぇや」
ふと思い出して京助が言う
「…そう?」
緊那羅と京助の漫才っぽいやりとりを傍観していた矜羯羅が京助を見る
「それ言うなら僕だってそうだけど?」
矜羯羅が言う
「そうなのか?」
京助が聞く
「そう」
矜羯羅が頬に手をやるとカチャリと腕輪が鳴った
「…そういや…そうかもな…緊那羅のことも俺全然知らねぇや;」
箒を拾っていた緊那羅を京助が見る
「? なんだっちゃ?」
視線を感じたのか緊那羅が顔を上げた
「…知ったら知っただけ何かが得られて何かが壊れる」
矜羯羅がボソッと言った
「得ようとすると何かが壊れ壊れることによって何かが得られ…簡単だけど難しいよね」
何がおかしいのか矜羯羅が口元に笑みを浮かべた
「…なんだか小難しいこと言ってるよオイ;」
京助が矜羯羅を横目で見た
「ひぇくしょぃんっ!!」
ひときわ大きく響いた悠助のクシャミに京助と緊那羅、矜羯羅も悠助に目をやった
「大丈夫悠助?;」
「らいりょる~」
マスクの中はおそらく鼻水大洪水だろうと言う鼻声で悠助が慧喜に笑顔を返す
「だいぶ冷えてきたっちゃね」
緊那羅が空を見上げると青空にほんのりオレンジが混ざり始めている
「今のクシャミは寒さからか?それともアレルギーからか?」
京助が悠助に聞く
「わかんない~」
ズズッと鼻を啜りながら悠助が答えた
「…お前今鼻水飲んだろ」
京助が口の端を上げて言った

「…僕だって…ね?」
矜羯羅がまだ咲かない桜の木を見上げ目を細めた
「僕だって…そう…生きてるんだよ…制多迦」
ゆっくり目を閉じた矜羯羅の頭の布が風にふわっと靡いた
「よーっし!! …腹減ったし撤収ー!!」
京助が人差し指を立てて家の方に歩き出した
「…矜羯羅もくる…あれ?;」
さっきまでいた矜羯羅の姿はソコにはなく
「相変わらず神出鬼没だっちゃね;」
緊那羅が小さく溜息をつくと京助の背中を追いかけた