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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・参】幸せ捜査網

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ガタン!!!!

バタバタバタバタ…

スパァ------------------ン!!!!

「緊ちゃんッ!!」
やたらテンポよく続いた物音が緊那羅の名前で止まったのは火曜日の昼過ぎのことだった
「…な…んだちゃ?;」
目を丸くして緊那羅が悠助を見る
「もぅっ!! 俺をおいていかないでよッ!!」
悠助を後ろから抱きしめた慧喜が頬を膨らませる
「ごめんね慧喜…で!! 緊ちゃん!! けんちゃん呼んで!! 呼んでッ!!」
悠助が声を上げる
「乾闥婆を?」
緊那羅がきょとんとした顔で首をかしげ慧喜と顔をあわせた
「桜ッ!! 桜咲いてる!!」
玄関の方を指差した悠助は少し興奮気味で声が大きい
「本当だっちゃ!?」
そんな悠助の声に負けずとも劣らないくらいの大きさで緊那羅が聞き返した
「うんッ! 咲いてる! 今咲いてるのっ!!」
慧喜の抱きしめからするりと抜けて玄関の方に走っていく悠助に慧喜と緊那羅も続いた
「あれ? けんちゃん…? けんちゃーんッ!!」
靴をズッパしながら外に飛び出した悠助が桜の木の下にいた乾闥婆に声を掛けた

「ゆう…ぅわ;」
名前を呼ばれて振り向こうとした乾闥婆に悠助が飛びついた
「あ…危ないですよ?;」
よろけたが辛うじて転倒を免れた乾闥婆が悠助を抱きとめて笑顔を向けた
「乾闥婆ずるいッ!!」
そしてお約束の慧喜の罵声が飛んでくる
「けんちゃん!! 桜咲いてるの見た!? ホラ!! そこ!!」
乾闥婆から慧喜に引っぺがされながら悠助が【そこ】と指さす先には咲きたてホヤホヤの桜の花が小さく群れを成していた
「…本当ですね…やっと咲いて…」
見上げた乾闥婆の顔が優しく綻んだ
「でも南の言ってたのって…一番最後に咲いた花ってことだったっちゃよね?」
緊那羅が乾闥婆の隣に立って思い出しながら言う
「ええ…一番最後に咲く花です」
乾闥婆が言う
「今日明日辺りには咲くと思います…ので」
「ので?」
乾闥婆が一呼吸おいて振り向き緊那羅を見た
「今日明日僕はココに泊まります」
【ココ】と言いながら桜の木に手をついた乾闥婆がにっこり笑った
「ココ…って…まさか…」
緊那羅が桜の木と乾闥婆を交互に見てうろたえる
「この木です」
さらりと乾闥婆が答えた
「か…っ迦楼羅には何て…;」
嫌な予感が的中した緊那羅が最初一言を噛みながらも聞き返した
「おとなしくしているよう言ってきました…が…僕がココに来るということは言ってはいませんので…もし来たとしても言わないでくださいね」