小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第七回・参】幸せ捜査網

INDEX|6ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

「っくしょんっ!!」
ザカザカと境内への道を箒で掃いていた緊那羅が悠助のクシャミの声を聞いてクスリと笑った
「大丈夫? 悠助」
境内に腰掛けて慧喜に鼻水を拭いてもらいながら悠助は鼻を啜る
「らいじょうぶ~」
鼻声ででも満面の笑みで返事をした悠助の頬に慧喜が軽く口付けて抱きしめる
「…見ているコッチが照れるっちゃ;」
何故か緊那羅が照れて顔を逸らしまた箒を動かし始めたがふと手を止めた
「……」
無言で空を見上げれば青い空にカモメとカラスと雲が気持ちよく泳いでいる
「掃除終わったんですか?」
足音と共に聞こえた声に緊那羅が振り向いた
「乾闥婆…あ…桜はまだ…」
「そうですか…」
緊那羅がまだ咲き始めない神社の桜の木に目を向けると乾闥婆も同じく目を向ける
「…またきますね」
乾闥婆はにっこり笑うとそのまま数歩歩きスゥッと姿を消した
「今日もきたね乾闥婆」
慧喜が言う
「…南の言ってた…こと信じてるみたいだっちゃ」

「まだ咲かないんだね」
「!!!?;」
緊那羅が呟いたすぐ後に矜羯羅の声がして緊那羅が驚き飛びのく
「きょんぎゃ…へっしっ!!」
矜羯羅の名前を言いかけてたがそれを悠助はクシャミに遮られた
「…鼻の下真っ赤だよ悠助」
プッと笑って矜羯羅が言う
「乾闥婆は毎日来てるみたいだね」
慧喜の隣に腰掛けながら矜羯羅が言った
「はい来てますよ」
慧喜が答える
「他の桜はもう咲いてるのに…けんちゃんこの桜の木がいいのかな」
悠助が桜の木を見る
坂の上にある神社から見える景色の中にはところどころに薄紅色が混じっている
「…私が…先に咲かせちゃったから…だっちゃね」
緊那羅が俯いた
「…まったく…緊那羅といい乾闥婆といい…」
矜羯羅が呆れたように息を吐いた