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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・参】幸せ捜査網

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「よし!! 脱いで!!」
「は?」
母ハルミがパンっと手を叩いて立ち上がると四人が疑問系の声を出した
「濡れた服のままだと風邪も引くし…着替えるの!! ホラホラ!! 脱いだ脱いだ!! 京助と悠ちゃんの部屋も空いてるからそこで着替えてもいいし…着替えは…」
母ハルミが隣の和室の襖を開ける
「…着替えは適当に見繕ってくるから好きなの着て頂戴ね?」
意見も聞かずして笑顔を向けられた摩訶不思議服集団がぽかんとしたまま頷いた
「なんならお泊りしていく? どうせ洗濯すると乾くの待っていないといけないでしょ? そうしなさい? ね?」
半ば強制的にお泊りを決定した母ハルミが和室にかけてあった洗濯物を外し始める
「…その服って普通に洗濯しても色落ちとかしないわよね?」
靴下に手をかけた母ハルミが聞いた
「…母さんや母さんや…;」
京助が口の端を上げてボソッと言った

「少し小さいか?」
「…や大丈夫」
制多迦が肩をぐるぐる回して答える
「そっちは?」
京助が矜羯羅の方を見た
「大丈夫だよ…着て着れない事はないから」
黒いトレーナーに袖を通した矜羯羅が珍しそうに自分の全身を見ている
「動きにくくないか?」
矜羯羅と制多迦が脱いだ服を集めながら京助が聞く
「…ん…大丈夫ありがと」
制多迦が笑顔を返した
「…あ…そういやお前等宝珠だかいう玉外して大丈夫なのか? 前に鳥類が外すと力がなくなるだか言ってたけど」
京助が思い出したように二人に聞いた
「…迦楼羅はね特別だから」
矜羯羅が小さく言う
「…くらは外しても別になんともない…」
そう言いながら制多迦が髪についている宝珠を外しはじめた
「…も迦楼羅は…外すと…」
ぱさっと制多迦の髪が解けた
「…外すと?」
京助が息を呑んだ
「…」
「京助ー!!! 洗濯物頂戴---------!!」
何か言ったらしいが制多迦の最初の一言が聞き取れない独特の話し方は悠助の元気な声で一言も聞こえなかった
「…聞かないほうがいいってことかもね」
矜羯羅が京助の肩を軽く叩いてフッと笑った

「京助ハイ」
「…で?」
母ハルミが笑顔で紙切れとサイフを京助に差し出した
「言わないとわからないかしら?」
そう言った母ハルミの片手には京助のパーカーがしっかり持ってある
「…俺風呂上がったばっかなんですが」
「今の時間行けばたぶん30%割引とかになってるはずだし…ほうれん草は特売のヤツお願いねそれとー…」
持っていたパーカーを京助の肩に掛けて手にサイフと紙切れを握らせる
「…問答無用ですか;」
溜息をつきながら京助がパーカーに腕を通した
「気をつけてね」
母ハルミがにっこりと笑った
雪の時には不要で下駄箱の隣に追いやられていた傘を手にすると京助は玄関の戸を開けた