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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・参】幸せ捜査網

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「…その花は緊那羅のものだね」
立ち上がり服についている土を払いながら矜羯羅が言った
「え…っ私…?;」
緊那羅が驚いて返事をする
「…そう…いうことになりますね見つけたのは緊那羅ですし」
「そんなッ!!;」
乾闥婆も言うと緊那羅が声を上げる
「だって乾闥婆も矜羯羅も私よりずっと…っ…」
「見つけたのは君」
必死になって言う緊那羅の胸に矜羯羅が指を付けて言った
「そうですよ? 緊那羅…見つけたのは貴方です」
乾闥婆がにっこり笑って緊那羅の肩を叩いた
「でも乾闥婆も矜羯羅もずっと…待ってたんだっちゃよ!?」
さわさわと風が吹いて先に咲いていた桜の花弁を地面へと導く
「運がなかっただけです緊那羅が悪いわけではありません」
そういうと咲きかけているおそらく一番最後の花を乾闥婆は見上げた

「…私…が見つけたから…っ…」
緊那羅が俯いて小さく言った
「ほらまただ」
矜羯羅が溜息をついて言う
「京助に言われたばかりなんじゃない…キリがないんだよ…責め続けると」
腕組みをした矜羯羅がチラリと乾闥婆を見た
「…花を見つけた君が悪いなら…」
「…ここで待つといって貴方に差し入れを持ってこさせてしまった僕等も悪い…」
乾闥婆が言う
「そう言う事」
矜羯羅がふっと笑った
「でも…っ!! でも二人は…っずっと待って…咲くの…を…」
小さな声が震えによって余計に聞き取りにくくなった緊那羅の肩を乾闥婆が軽く叩いた
「…幸せや願いというものは大きければ大きいほど見つけるのも手に入れるのもかなえるのも難しいものなんです…それだけ…僕等の願いは途方もないものなんでしょうね…」
俯いたままの緊那羅の頭を撫でながら乾闥婆が静かに言った
「…途方もないから…たまに甘えたくなるんだよね…絶対叶わないってわかっていても夢を見たくなるんだ」
矜羯羅が緊那羅に近づき乾闥婆と同じ様に静かに言う
「…泣きながら帰ったんじゃ悠助が心配しますよ?」
乾闥婆が笑顔で言うと緊那羅が服で目を擦った
「少し時間を置いて…帰りなよ?」
背中を向け片手を上げた矜羯羅がスゥっと消える
「…僕もそろそろ戻りますね…迦楼羅がまた何かやらかしていないとも言い切れませんから」
ゆっくりと緊那羅の頭から手を離すと乾闥婆もスゥっと消えた
「…っ…」
残された緊那羅(きんなら)の肩がまた震えだしてその場にしゃがみこんだ