恋は未完のままで
しかし涼太にとって、この後どうして良いのかがわからない。
仕方がないので、舌でツンと突っついてみた。
「うっ」
愛沙から短い嗚咽が漏れてきた。
しかし、涼太はまだ若過ぎた。
その嗚咽にどういう感情が込められているのか、それを理解することができなかった。
愛沙は自分の乳房に貼り付いている涼太を突き放し、告げた。
「涼太君、こっちはもういいわ、今度は右よ、こっちにもキスして」
涼太は別に歯向かう気はない。言われるままに、右の乳首を今度は強めに頬張ってみた。
しかし不思議なものだ。微妙に左の乳首と味わいが違う。涼太はそんな僅かな差に感動している。
「ねえ、涼太君・・・・・・どっちが好き?」
そんな問いかけはまるで当然かのように、愛沙が聞いてきた。
涼太にとって、それは実に難しい質問だ。
確かに微妙な差はある。
その差を強いて言うならば、左は初恋の味。
そして右は少し熟した感じで、大人っぽいかな。そんなことを、涼太はぼんやりと思うのだった。