恋は未完のままで
「ねえ、涼太君、もう描けた? 見せて」
暫くして、愛沙がせっついてきた。
涼太は愛沙を描いてはいるが、ぽーとしている。しかし出来上がりを愛沙に見せた。
「涼太君、うまく描けてると思うよ。だけど首から下は・・・・・・私不満だわ」
愛沙は暫く眺めていたが、そんなことを言い出した。
「何が?」
涼太は合点いかず、愛沙に聞いてみる。
「胸の辺りよ、私、もう少し膨らんでいると思うわよ、わからないの?」
確かに愛沙は細身ではあるが、実体はかなりのグラマーそう。しかし、中身までは涼太にはわからない。
「見たまま描いたのだけど」
涼太はそんなことをぼそっと呟いてしまった。
「そう、わかったわ、涼太君」
愛沙はそう言って、突然涼太の前まで進み出てきた。
涼太は、愛沙が言う「わかったわ」がわからない。「何が?」と聞き返してみた。
「いいのよ、涼太君、私、いつもここの窓からグランドを走っている涼太君を見ていたの・・・・・・だから」
愛沙はそんな意味ありげなことを言って、しばらくもじもじとしている。
涼太は、ひょっとしたらこれは恋の告白ではないかと思ったが、どうして良いものかがわからない。
愛沙はそんな涼太に痺れを切らせたのか、「いいのよ、涼太君」と繰り返す。そしていきなり白いブラウスのボタンを外し始めた。
その上に、ブラジャーまでも取ってしまったのだ。