恋は未完のままで
あの高校二年生の時は、次に何をすべきかがわからなかった。しかし、今はわかっている。
あの時、愛沙に要求されてしたように。だが今回は、ゆっくりとじらしながら愛沙の乳首を口にふくんでみた。
しかしそこには、あの時感じた初恋の味はなかった。
あるのは、女が男を誘い舞い上がらせてしまうような神秘な味、それがあった。
確かあの時、「うっ」と一言嗚咽を漏らした愛沙。だが今回はまったく違う。
止まらない嗚咽を漏らしている。
そして愛沙はそんな喘ぎ中で、涼太の耳元で囁く。
「涼太君、私達の青春を、もう終わらせようよ。だから・・・・・・して」
愛沙がA/Rとイニシャルを入れ、涼太が「高校二年生のある秋の日、それは二人の青春への旅立ち」と書き込んだ絵。それを、涼太は二十年間も持ち歩いてきた。
涼太も、そんな拘(こだわ)りにそろそろケリを付けたい。愛沙のことはもう忘れて、これからは過ごしていきたい。
「涼太君、私達の青春をもう終わらせようよ。だから・・・・・・して」
愛沙もそう言って、青春を終わらせてしまうことを望んでいる。
それで二人の青春に決着が付くならば。
涼太は黙って、愛沙をぐいっと抱き寄せる。
その後、それはもう二十年前の無知な男子生徒ではなく、獣の臭いがする男として。涼太は愛沙を荒っぽく抱いた。
愛沙も、愛の魔女のように貪欲にそれに応えた。二人は互いを貪り尽くした。それは、二十年間の心のしこりを、自ら取り払ってしまうかのように、狂おしく狂った。
そして共に愛欲の絶頂へと昇りつめた。
こうして、やっとのことで二人は青春を卒業できた。
少なくとも涼太はそう思ったのだ。