恋は未完のままで
高校二年生のある秋の日に始まった涼太と愛沙の青春。しかし二人は、その後それぞれ違った道を歩んできた。
そして二十年後に、それをまるで終わらせるためかのように、今日運命の再会をした。
愛沙は女流画家として、これからますます絵の世界に没頭していく必要がある。そのためには、心の底に眠り続けている涼太との青春を終わらせなければならない。
多分、そう思ったのだろうか。この機に、少年と少女ではなく、男と女の決着を付けておこうと。
「涼太君、ちょっとこっちへ来て」
愛沙は甘く涼太に声をかけてきた。
「どうしたの?」
「ねえ、あの時みたいに、ここを触ってみて」
愛沙は左の乳房を突き出してきた。
涼太は何も言わない。なぜなら、愛沙が今何を望んでいるのかがわかっているからだ。
「涼太君は、左が好きだと言ってたわよね、だから大事に取っておいたわ」
「愛沙は、やっぱり忘れてなかったのか」と涼太は思いながら、愛沙の乳房を下から持ち上げるように掴んだ。
ずしりとした重さを感じる。
それは、涼太が知らない愛沙のこの二十年間の青春が詰め込まれているようにも思えた。