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恋は未完のままで

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二人は互いの無事を確認し合い、暫く世間話しを交わした。

そして愛沙が何を思い立ったのか、ねだるように言い出す。
「ねえ涼太君、この近くに私のアトリエがあるの、ちょっと寄って行ってよ」

涼太は、今日は特に時間の制約はない。
「ああ、いいよ」と軽く返事をしてしまう。

涼太は今、愛沙のアトリエにいる。
出された紅茶をゆっくりと飲み、庭の風景をぼんやりと眺めている。木々が色付き、萩の花が静に咲き乱れている。そんな秋がしっかりと感じられる。

そんな時に愛沙が、突然涼太に無心してくる。
「ねえ涼太君、一枚私を描いてくれない?」

涼太は、「あの時から、もう絵を描いていないんだよなあ、もう描けないよ」と断った。
「あらっ、モデルが悪いとでも言うの」と愛沙は不満そう。

「そんなんじゃないよ、だったら、じゃあ、久し振りに描かせてもらおうかな」
涼太は渋々ではあったが、承諾せざるを得なかった。

「嬉しいわ」
愛沙はそう答え、何を思ったのか突然服を脱ぎ出す。


作品名:恋は未完のままで 作家名:鮎風 遊