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恋は未完のままで

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そんな時に、美術室のドアがガラッと開いた。
涼太と愛沙の二人だけの密室。その閉ざされた空間が突然開かれた。そして、そこには美鈴(みすず)が立っていた。

美鈴は、愛沙と正反対の雰囲気の女学生。
おかっぱの黒髪に、目がくりっと大きい。肌は真綿のように柔らかく白い。まだまだうぶで、少女の清純さが伝わってくる。

 美鈴は涼太の一番のガールフレンドだ。そんな美鈴は、涼太が愛沙と二人だけでいる美術室に紛れ込んできて、今にも泣き出しそう。

「涼太、忘れたの、今日約束だったでしょ、さあ行きましょうよ」
美鈴は何かを感じているのか、涼太を愛沙から引き離すように話す。

涼太は思い出した。今日は美鈴を連れて、誕生日祝いに四葉のクローバーが群生している秘密の場所に行き、歳の数だけ探してみると約束していた。

「あっ、ごめん、行こう」
涼太は美鈴にそう答え、愛沙のそばから離れた。

その時、愛沙が小声で囁いてくる。
「涼太君、決して忘れないで、私達の青春は今日始まったのよ。だから、いつかきっと二人で終わらせましょう」

涼太は、愛沙の乳房の若い弾みとその重み。そして乳首を口にふくんだ時の不思議な味わい。さらに、初めて知った左と右の微妙な差。

涼太はそんなことを脳裏に刻み直しながら、美鈴の方へと駆け寄っていった。


作品名:恋は未完のままで 作家名:鮎風 遊