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告白

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彼との仲は急激に良くなった。
部活では何かと俺に聞いてきたし、帰る方向も同じだったから帰りは一緒に帰った。3年は夏で引退だから奏多のバスケ部生活はすぐに終わってしまったが、いつの間にか教室でも俺は奏多といることが多くなっていた。

初対面で俺を「龍」と呼んだのは、女子達がそう呼んでいたので真似してみた、とだいぶ親しくなってから尋ねてみたら無邪気に話していた。

高校の受験勉強も終盤に差し掛かり、お互いに塾やら自習やらで下校時間がずれるようになってからは一緒に帰ることは急激に減った。
卒業式の日に奏多は「一緒に帰ろう」と改めて約束を取り付けてきたので、俺たちはその日が卒業ということもありお互いに少しかしこまった気持ちでいつもと変わらぬ帰路を歩いた気がする。

そして、俺は奏多が受ける高校がどこなのか今だ知らなかったのを、その時初めて気づいたのだ。何故今まで気づかなかったのだろう?奏多もひょっとしたら俺が受ける高校を知らないのだろうか。

「奏多は気にならなかったのだろうか」とふいに考えたら、なんとなく気に入らないと思った。


「卒業だな」
「うん」
「久しぶりだな」
「うん」

ぎこちない俺の言葉に、奏多は俯いて微かな声で頷くだけだった。

「おい、奏多…?」
「……んー…?」
「………泣いてるの」「違う!」
咄嗟に否定したと同時に目を手で覆う奏多に、俺はそっと微笑って頭に手を置いた。


作品名:告白 作家名:ハルユキ