告白
02
中学3年生という微妙過ぎる時期にコイツは俺の中学に転校してきた。
「藤野 奏多(フジノ カナタ)です」
転校生というのはがちがちに緊張していたり変によそよそしかったりするのがその時俺の中にあるイメージだったのだが、彼は一人の転校生を迎える大勢の俺たちが逆に引き締まってしまうような爽やかすぎる笑顔で教壇に立っていた。
俺はそれがひどく印象的だった。変な奴がきた、と思った。
人との関わりあいが薄く、表情に抑揚がない俺にはきっと卒業まで縁のないタイプだろう、と思いながら窓の外を眺め呆けていた。
だがその思惑は翌日の放課後に覆された。
「俺さ、龍と同じバスケ部に入ろうかと思ってるんだけど」
教室窓側最後列の席で机に突っ伏していた俺に、奏多は突然そう言ってきた。
そして俺の名前は龍士だが。
「いいんじゃない」と、俺は返した。すると色々教えてほしいと、またあの笑顔で言う。
初めて間近であの印象的だった笑顔を見せられた俺は、なぜか体温が少し上がった。