告白
下駄箱前の柱に彼は立っていた。
「悪い。待ったよな」
「お、お疲れ!んーん全然。ていうか俺が待つって言ったんだし」
「そうか。じゃ、帰ろうか」
「…う、うん」
なんだか彼はそわそわ落ち着かないように見える。
嬉しい報告を早く俺に知らせたくてしょうがないんだろう。
「今日の部活はどうだった?」
「ん?あー…いつもどおりかな。今日はずっと後輩に教えて終わったな」
「そっか。新入部員は多いの?」
「そうだな。俺らの代よりは多いな」
「やっぱりバスケ部は人気だな。モテるもんな」
「そうか?俺は全くモテないけど」
「違うよ。それは…アレだからだろ」
「あれ?」
「好きな子、いるんだろ。ずっと前から好きな人」
「あー…」
告白してくれる子に誠実でいたくて、俺は断る際にしっかりと他に好きな人がいることを言っていたのだった。
「なんでお前が知っているんだよ」
コイツにその話をしたことは一度もない。
「みんな知ってるって」
「なんで」
「モテるから。みんなお前の恋愛事情が気になるんだよ」
「……どうして睨むんだ。ひがむなよ」
「な、ひがんでねーよっ」
そう言いながら右肩に拳が飛んできた。
「……それより、話があるんじゃなかったのかよ」
「え」
何を言いにくそうにしているんだろう。
嬉しくて、いつも恋愛相談にのっていた俺にいち早く報告したいのではないのか?