告白
「それより龍…」
「なに?」
「……汗くさい」
「なっ、まぁ…部活終わりだからな」
「シャワー浴びてくれば。下のトイレの横だから」
「えー。それはさすがに」
「誰もいないから大丈夫だよ」
「……じゃぁ」
そう言い、正直汗を流してさっぱりしたかった俺はシャワーを借りた。
途中、奏多が風呂場にバスタオルや着替えを持ってきて、気が利く奴だと思った。
それにさっきの会話のやり取り…誰もいないからって、まるで……
――“恋人みたいだ”――――
思えば過去にも奏多とのやり取りの中で何度かこう考えてしまったことがあった気がする。
そして事故とはいえ既成事実も一度存在するし、あれ以来俺は奏多を多少なりとも意識している。
それに加えて言えば、最近奏多の俺に対する反応がいちいち可愛く見えるのだ。
これは…………、不味い。
もしかして俺は、無意識に奏多のことを…そういう意味で意識しているのではないだろうか。
それは…………、不味い…よな…?
シャワーを浴び終え奏多の部屋に戻ると、話し声が聞こえた。
「…いいよ。終わるまで待ってるから」
彼女だろう。奏多の声が、甘い。
ノックして部屋に入る。
すると、じゃぁ明日、と言って奏多は電話を切った。
少し髪に隠れた奏多の横顔も、声と同じく甘さを漂わせていた。
「……」
おかしい。さっき恋愛相談されたときには無かった。
さっきはこんな感情、無かった。