夢の途中9 (270-306)
定家の著した明月記の文暦2年(1235)5月27日の項に、宇都宮頼綱の求めに応じて和歌百首を書写したところ、
小倉山荘の障子に貼られたとあるのでこの頃に作られたものと考えられている。ちなみに5月27日は百人一首の日となっている。』*ネットより検索
『まあ、こんな処に・・・・』
時雨殿の会館は既に閉館の時間になっていたが、香織は興味深く眺めていた。
「ここは2006年に開館したんや。この周辺に5か所ほど小倉百人一首の記念碑があるからなァ。」
『優一さん、百人一首は?良くなさって?』
「^^;・・僕は・・・坊主めくり位しかした事ないなあ・・」
『うふふふ♪私、結構和歌が好きでね♪(^_-)-☆ この小倉百人一首とか万葉集だとかいっぱい詠んだわ♪妹も好きだったからお正月はよく百人一首やったわァ~♪
妹の美羽なんかもう負けず嫌いだから(#^.^#)♪
<あひみてのォ~、のちのこころに くらぶればァ~、むかしはものを おもはざりけりィ~♪ > (#^.^#)ワタシノキモチ♪』
「・・・?・・・・^^;どう云う意味?」
『・・・(;一_一)ッタク!・・・・・(#^.^#)これはねぇ、権中納言敦忠と云う人の和歌で、恋人の右近と云う女性とデートした後に、[夕べ貴女と二人っきりでお逢いした後の、今のこの胸の苦しさに比べたら、逢いたい逢いたいと思っていた頃の恋の辛さなんかは比べ物にならない程小さな物です。
それ程貴女の事を愛していますよ♪]と云う意味なの♪(#^.^#)』
「へぇ~、平安の貴族は情熱的やったんやなァ~♪(^。^)y-.。o○」
『・・・(*_*)ソレダケ?(/_;)ドンカンナヒト・・・・^^;こんなのもあるわよ♪(^_-)-☆
<あしびきのォ~、山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜を 一人かも寝むぅ~♪>
これはね、柿本人麻呂の歌で、[夜は雄と雌が、谷を隔てて離れ離れに寝るという山鳥・・・その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、長い長い夜を、この私もまた、貴女と離れて一人さびしく寝るのだろうか。私は片時もあなたと離れずにいたいと思うのに・・・]と云う歌なの♪(^_-)-☆
人麻呂には、密かに思いを寄せる人があったんだけど、その人は帝に仕える女性でね、そんな人を愛していることが知れたら重い罪に問われてしまう時代だったから、人麻呂はそのことを悲しんで、この歌をつくったんだって・・・(/_;)カワイソウデショ・・・』
「ふ~~ん、百人一首て、恋の歌ばっかりか?(^。^)y-.。o○」
『うん♪百首のうち、恋の歌が47首もあるのよ♪(^_-)-☆
昔は今と違って、男女の婚姻と云う制度も確立してなくて、同じ屋根の下で結婚した男女が暮らす事自体無かったのね・・・だから、夜な夜な旦那さんや彼氏が女性のお家に通って来るの♪(^_-)-☆ 所謂【通い婚】よね♪』
「通い・・婚か・・・・・(*_*)・・・・・」
優一が香織の言葉に反応した・・・
「僕は百人一首とか万葉集とは知らんけど、バンドで作詩もやってたから詩はよう書いたなァ^^;・・
即興でこんなんはどや?(#^.^#)
<月渡る 橋のたもとで 君を抱く しばし雲間の 朧月かな>
(#^.^#)ナンチャッテ♪」
『(#^.^#)うわァ~、凄い凄い~♪素敵ィ~♪ これ、優一さんが今作ったの?』
「ああ、渡月橋に引っかけて^^;・・・」
『スゴ~イ♪(#^.^#)優一さん、平安時代ならもっとモテたわね♪』
「え?(;一_一)・・・・現代では通用せんか?(ToT)/~~~」
『うふふふ♪(^_-)-☆冗談よ♪ あ!(゜.゜) 』
二人は話しながら嵐山公園(亀山公園)に続く石段を昇っていた。
未だ、ライトアップの無いこの時期に他の散策者は少なかった。
香織のヒールが石段で滑り、よろめいた・・・
「アブナイ!(・_・;)」
咄嗟に優一が香織の身体を抱きとめる・・・・
『^^;御免なさい、私、あわてん坊だから・・・あ・・・優一・・さん(*_*)・・』
「香織さん(*_*)・・・・・」
抱きとめた優一の腕の中で、二人は見つめ合った・・・
「香織さん、またひとつ出来た(*・*)・・・・
<妖しきは 朧月かな 気まぐれに そっと唇 盗みたくなる・・>」
『素敵♪(*。*)・・・・・』
「香織さん、好きや・・・・」
優一は腕の中の香織を一層強く抱いて唇を重ねた・・・
香織も両手を優一の背中に廻し、応じる・・・
二人の熱い想いが一気に溢れ出た・・・
その時、煌々と辺りを照らした月明かりが
そっと雲間に隠れた・・・
「予約してあった林と花田です。」
優一と香織は予約してあった鴨川べりのホテル藤田のフロントでキーを受け取った。
[こちらです、どうぞ♪]
制服姿のベルガールが二人のボストンバッグを両手に持ち、エレベータに先導した。
優一の腕に自然と香織の腕が絡まり、その後に続く。
勿論優一と香織は其々一部屋ずつ予約していた。
エレベータは3階で停まり、毛足の長い絨毯の上を部屋まで歩く。
まず、香織の部屋に着いて、ベルガールがカードキーを差し込み中に入った。
中は八畳ほどで、中央にゆったりとしたダブルベッドが据えてある。
優一の部屋も同じダブルの部屋で、互いに身長の大きめな二人がゆったり眠れるようにと優一が配慮した結果だった。
決して他意は無かった?^^;・・・
ベルガールは室内の設備の簡単な説明をして、ボストンバッグと香織一人を残し部屋を出る。
「ジャァ、マタアトデ♪(^_-)-☆」
『ジャァ、マタ♪(*^_^*)』 二人が互いに目で語り合った♪
ベルガールが同じく優一の部屋で簡単な説明をして出て行った後・・・・
すぐに香織の部屋がノックされた。
「香織さん・・・」
香織がドアを開けると、優一が入って来ていきなり抱きしめる♪
互いにこの時を待ちわびたように唇を重ねる・・・
何度も顔の向きを変えて激しく唇を重ねる・・・
『ああ・・(*_*;ねぇ、・・・・・・30分、待って下さる?・・・・
私、シャワーを浴びたいの・・・あ!(・_・;)』
再び二人の唇が引きあうように重なる・・・・
「・・・(・_・;)ああ、30分やな?僕もシャワー浴びるわ^^;・・・・」
『(#^.^#)ええ、じゃァ、30分後♪』
「ああ、30分後に♪(#^.^#) あ、待って!」
一旦香織の部屋から出た優一は、再び部屋の中の香織をキツク抱きしめ、口づけをした♪
優一との激しい抱擁の後、力が抜けたようにペタンとベッドに坐り込む香織・・・・
けだるい身体を起こし、窓辺のカーテンを開けると、月明かりの中で加茂川がサラサラと流れている・・・
窓を少し開ける・・・・
火照る香織の身体をなぞる秋の川風は心地良かった♪
香織はシャワーを浴びた。
一日に3度か4度は必ずシャワーを浴びる習慣の香織。
今日は流石に優一と大阪のホテルを出る前に朝一度浴びただけだった。
何時ものように同じ手順で髪と身体を洗う香織・・
バスタオルで身体を拭いて鏡に自分の上半身を映す・・・・
そして少量のタルカムパウダーを手に取ると、脇や首筋に軽くはたく・・
作品名:夢の途中9 (270-306) 作家名:ef (エフ)