小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ef (エフ)
ef (エフ)
novelistID. 29143
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

夢の途中9 (270-306)

INDEX|3ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

優一は大阪駅前でレンタカーを調達した。
香織の望む神護寺へはバスの便も在るが、勿論車の方が便利だった。
まだ京都は本格的な紅葉シーズンでは無く、観光バスによる渋滞も無いだろう・・・
また、神護寺から他へ移動するにも車なら便利と考えたからだ。
今夜は鴨川べりのホテルを予約してある。
優一は阪神高速池田線を豊中から名神に乗り継いだ。
神護寺はかつて優一が今は亡き恋人・瑛子と初めてデートした場所であった。
優一はトヨタ・クラウンのハンドルを握りながら、神護寺での想い出を香織に何時語ったのだろうかと考えていた・・・

優一と瑛子が出逢った切っ掛けは、瑛子の通う【京みやこ看護短大】の学園祭に優一達のバンドが出演した事だった。
優一の高校時代の同級生である大井泰子がその年の学園祭の実行委員長であり、瑛子も実行委員の一人だったからだ。
出会った瞬間から、互いにほのかな好意を寄せていた二人であったが、学園祭の後そのまま縁が切れてしまうのかと感じていた矢先、二人が再び出会う出来事が在った。
12月に行われる優一のバンドのコンサートチケットを、【京みやこ看護短大】で販売協力する事になった。
言い出したのは大井泰子であったが、チケットの受け渡しを泰子の代わりに瑛子が行ったのだ・・・

【優一の回想 1975年秋】
半ドンの土曜日、女子寮の食堂で昼食を摂っていた瑛子に、あとから入って来た泰子が走り寄った。
「あ!瑛子ちゃん、良かった~♪(*^^)vあんな、頼まれてくれへん?
今日2時に、林君と会うことになってんねんけど、瑛子ちゃん、代わりに行ってくれへん?コンサートのチケット、もう20枚預かることにしたんよ♪
けど、ウチ、今日リッちゃん(立命館大学)の彼とデートやったん忘れててん^^;・・
代わりに行って~~♪(^_-)-☆」
泰子は早口で一気にまくし立てた。
瑛子にも3時から同志社大学でのダンスサークルへ、レッスンに行く予定がある・・
しかし、『チケット、受け取るだけやし♪(^_-)-☆』と泰子に強引に頼まれ、承諾する他なかった。
それに・・・
2週間ぶりに優一と逢えることも、瑛子を承諾させた理由の一つかも知れない・・

瑛子はそのままレッスンに行けるように、ダンスシューズのバッグと、レッスン用で少し派手目な赤紫のワンピースを身につけた。
そして以前優一達と学園祭の打ち合わせをした近所の喫茶【忘れな草】で2時前に着き、優一の到着を待った。

丁度2時に、【忘れな草】の前に、白いセダンが停まった。
その暫く後に、店の木の扉が開き、カウベルが鳴る♪

濃紺のウインドブレーカーを着た優一が、店内を見回した♪
そして・・・瑛子と優一の視線が出逢った♪(^_-)-☆
「あ!藤さん♪(*^^) 」
優一の視線の先で、瑛子が立ちあがった♪
      (*^。^*)   (#^.^#)
『すみません、大井さんこれなくて・・・私が代わりに・・^^;・・・』
「ああ、とんでもない!わざわざありがとう♪(*^^)」
 瑛子と向かい合う席に座りながら優一が応えた。
『コンサートの準備、大変やね。私もよせてもらうのよ♪』
「ホンマに?嬉しいなぁ♪(*^^) 」
『お友達の追悼コンサートなんやてね・・・』
「うん、そうなんや・・・バンドの元メンバーで山木言うねんけど・・」
 
優一はその経緯を瑛子に説明した。
優一のバンドメンバーであった山木昭三が、一浪して大学に入学した今年の夏に、同じ高校の同級生・田川と日本海に泳ぎに行って水死したのだった・・・

 瑛子は優一の長い話を、時折頷きながら、優一の目をじっと見つめて聞いた。
「でも、山木の付き合いの広いのには、今更ながら驚いたわ^^;・・
僕らバンドのメンバーが一番の親友やと思ってたけど、アイツ、男も女も関係なしに深いつながり持ってたんや・・
ホンマはな、僕、山木と一緒に海に行った田川のこと、恨んでたんや・・・・
あんな奴と付き合うからこうなったんやて・・
でもな、最近考えが変わった。
アイツにとって、田川もかけがえのない仲間の一人やったんやて・・
だから、結果はこうなったけど、
それもみんな、アイツ自身が選んだ人生やったんやって・・
田川は・・・・・・悪ないって・・(>_<)・・          」

優一は俯いて、声を絞り出した。

「あ、ごめん^^;・・湿っぽい話になってしもたな(^^) 」
 瑛子も俯いていた。その目じりも濡れている・・
『うううん、すごい良いお話♪(*^。^*)男の人の友情って素敵やね♪(^_-)
そんなお友達に囲まれてた山木君て幸せやと思う♪
あ!(@_@;)もうこんな時間!林君、私もう行かな・・』
「え?藤さん、何処まで行くの?僕、車やから送るわ♪」
優一はテーブルの伝票をワシ掴むと、もう立ちあがり出口に向かって歩きはじめた。
『え~、でも、そんなん悪いし・・(・_・;)・・』瑛子も立ち上がったが、少し戸惑っていた。
「エエよ、瑛子ちゃん、はよ行こ♪(^_-)-☆」

優一は早くも出口の扉を半分開き、身体半分外に出ていた。
『あ、はい♪(#^.^#)』
瑛子は置いてけぼりにされないよう、慌てて荷物を手に外に出た。
優一は白いセダンに乗り込みエンジンを掛ける。
中から瑛子に助手席を指で示し乗るように促した。
『失礼しま~す♪(*^。^*)  この車、林君の?』
「いや、オヤジのんや。今日は組合の旅行でおれへんから(*^^)・・
で、何処行ったらエエの?」
『あ、同志社大学までお願いできます?』
「ああ、なんやそんな近いとこかいな♪(^_-) 」

優一はバックで駐車場を出る。
瑛子の座る助手席の背に手をやりながら後ろを見る。
瑛子の顔の間近に 優一の横顔があった♪

瑛子はドキッとした♪  (#^.^#)

車は西大路通りを北上し、北野白梅町を東に折れて、北野天満宮の前を通り、上七軒から今出川通りに入る。
優一の縄張り?、堀川今出川を過ぎ、目的地同志社大学前の烏丸今出川に着いた。
車の中で、瑛子の趣味が【社交ダンス】であることや、大阪に実家があること、母親が現役の看護婦であること、互いに三歳下に妹がいること、もう一年半も京都に居るのに、ロクに観光したことがないこと、
優一の雑種の愛犬の名前が【コロ】であると言うこと等、他愛もないことで盛り上がった♪
瑛子は、もう『遅刻』は確定していたので、どうせなら、車が目的地に着くのが少しでも遅れたら良いと願った♪
もう少し優一と話をしていたかったからだ♪
その想いは優一も同じだった♪
瑛子は優一の横でコロコロと笑い、お腹を捩った♪
優一はそんな瑛子を愛おしく感じた♪
けれど、そんな時に限って都大路は、大した渋滞もなく、スムーズに走れ、15分ほどで同志社に到着した・・

『林君、ありがとう♪助かりました(#^.^#)』
「うううん、僕の方こそ♪  瑛子ちゃんとこんなに話せて楽しかったわ♪(*^^)v」
(今度、ゆっくり話したいなぁ♪・・・・(#^.^#))
「あのォ~、今度、(^v^)・・」
優一が助手席の窓越しに言おうとした時、
『そしたら林君、ありがとう♪(^_-)』
「あ!瑛子ちゃん!(・_・;)・・・・・」