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夢の途中9 (270-306)

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「ホントに? それなら土曜と日曜は空けとくよ♪(^_-)-☆ 
何処行く?まだ京都の紅葉は早いやろなァ・・・
九州もこちら阿蘇山の上の方はかなり紅葉してるけど、
京都の紅葉は11月下旬やからなァ・・・」


2008年10月16日 21:28
件名:rerererereこんばんは♪(^_-)-☆
『あのね、私行きたいところがあるの♪(#^.^#)
 優一さん、お付き合いして下さる?場所は当日まで秘密♪(^_-)-☆』


2008年10月16日 21:45
件名:rerererereこんばんは♪(^_-)-☆
「オッケー(^_-)-☆何処やろなァ、香織さんの行きたい処。何処でも行きまっせぇ~~(^^)v」

最近はかなりフランクな内容のメールになってきた二人のやり取りであった。
優一は内心、やっと香織との関係にケジメを付けられるチャンスだと小躍りした。




二人は互いに週末の逢瀬を楽しみに準備をした。
大阪でのホテルは優一が懇意にしているホテルを予約した。
勿論別々の部屋だが優一も金曜の夜部屋を取ってある。
当日は互いに遅い時刻の到着なので、土曜の朝、ホテルのロビーで落ち合う事にした。
土曜日はこれもまた優一が京都のホテルを予約した。
勿論別々の部屋を、である。
香織が行きたい京都での場所とは?
優一には想像出来なかった。
元々香織も関西の出だけれど、大阪、京都の知己は在っても、京都の事は今まで何も聞かなかったし・・・
けれど京都は、多くの女性にとって常に心躍る地でもあるし、きっと香織がかねて訪れたい場所が在るのだと思った。
出来ればもう後一カ月程後であれば、大原・高雄と紅葉で有名な地が在って、雄大な北海道や九州とは又違った趣の紅葉を香織に紹介する事も出来るのだが・・・

何れにせよ、8月以来香織と逢う事が出来るのだ。
毎日メールでのやり取りをするようになり、多少はフランクな関係にもなった二人では在ったが、やや昔人間の気質が残る優一にとって、メールで愛の告白は出来なかった。
本当は9月に藤野に行って、もっと早く香織の気持ちを確かめたかったが、台風の雨風に熊本の道路を守る優一の使命は重かった。
何分自然が相手の仕事だけに、此方の思い通りにはならないのだった。
11月になれば藤野は雪で覆われるだろう・・・
古畑が指揮する夢島建設の工事も一旦中断する。
当初の目標である川沿いのバイパス道路は予定通り10月末で開通する。
あとは、元々熊田の所有していた雑木林を突っ切る第二期工事を来年5月から再開する予定だ。
何とか藤野に復帰したいと願う優一ではあったが、仕事と私事を混同するような人間では無かった。

離れていても香織となら分かりあえると
信じたい優一であった。



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章タイトル: 第31章  神護寺 1975年秋


10月24日、香織は午後1時を過ぎると急いで店じまいをした。
何時ものように先ずシャワーを浴びてすっきりすると、前日から用意していた旅行バッグを手に藤野駅から旭川空港線に飛び乗り、旭川空港から新千歳を経由して大阪は関西空港に22時30分に着いた。
そこからJRに乗り大阪市内のホテルに着いたのは24時前だった。
ロビーでチェックインする時に『林優一』が既にチェックインしている事は確認した。
優一も夕方の便で熊本から大阪に移動したはずだ。
ひょっとしたらもう寝ているかもしれないと思いながら、携帯電話を掛けてみた。

【ツルルルル・・・・ツルルルル・・・カチャっ・・・ああ、香織さん着いたんやな?今、部屋か?】
【ええ、今着きました。とっても見晴らしのいいお部屋だわ♪優一さんも同じ階なの?】
【いや、僕は高所恐怖症やから、何時も3階の部屋や^^;・・そこは20階やから、大阪の夜景が楽しめると思ってなァ。これから逢う?】
【ん~~、お楽しみは明日って事にするわ♪流石に10時間近く乗りモノに乗ってたら疲れちゃって^^;・・】
【ああ、分かった♪ そしたら、明日8時半に2階のブッフェで。そしたらオヤスミ♪】
【はい、分かりました。おやすみなさい♪】
二人は明朝8時半に2階のブッフェでバイキング形式の朝食を摂る約束をした。

香織は来ていた服を脱いでクローゼットに仕舞うと、久しぶりにバスタブに湯を溜め、その中に身を沈めた。
同じ建物の中に優一が居る。今すぐにでも逢いに行ける場所に優一が・・・
逢いたいけれど、長旅の疲れで眼の下にクマが出来た顔を見せる訳に行かない・・・
今一番良い私を彼に見て欲しい・・・
上辺だけを上手く取り繕うつもりは無いけれど、
欠点も多い自分だと思うし、それを隠すつもりも無いけれど、
今出来る範囲で一番の私を優一には見せたいと思う香織であった・・・




翌朝8時半、香織は海老茶のワンピースに黒のカーディガンを纏って現れた。
「やあ、おはよう♪(^v^)昨日はよく眠れた?」
『(#^.^#)おはようございます♪ ええ、ぐっすり♪ もうダメね、歳だから。』
「あははは、僕も同じ年やで♪ 
年より扱いせんといてや♪(^。^)y-.。o○」
『だって優一さんは旅慣れているもの♪ 
私なんか今年のお盆に妹の処に行った時も大阪と北海道って結構アクセスが不便だなァと思ったわ・・・』
「そやなァ、10時間在ったらヨーロッパにも行ける時間やもんなァ・・まあ、札幌まではそうでもないねんけどなァ・・
さあ、お腹減ったやろ、行こう行こう♪」

二人はブッフェの入り口で朝食券を渡すと、案内の女性に窓際の席に導かれた。
「ここは【喫茶・ラベンダーの香り】のモーニング程でも無いけど、洋食・和食でおかずの種類は色々♪ 
たまには【上げ膳据え膳】もエエやろ?(^。^)y 」
『ええ、女はそれが何よりだわ♪(^_-)-☆』

二人は席を離れ、料理の盛り付けられた一角に足を運び、プレートと皿を持って思い思いの品を皿に取った。
香織が皿に取った品は2枚重ねのパンケーキ、その上にトッピングとして生クリームと蜂蜜をタップリかけた。
それと小鉢に盛られた野菜サラダと同じくフルーツの盛り合わせも。
優一は和食で、白いご飯に生卵、焼きノリ、鯵の一夜干しとみそ汁をプレートに乗せた。

「ああ、香織さんのパンケーキ、美味しそうやなァ♪(^_-)-☆」
『うふふふ♪(#^.^#)美味しそうじゃなくて、美味しいわよきっと♪(^_-)-☆
今でも毎朝朝ごはんちゃんと食べてるの?』
「ああ、今熊本の宿舎は元々熊本支社の独身寮やから、賄いのおばちゃんが朝晩と作ってくれるんや♪土日は外食せんとアカンけど、それ以外はきちんと♪(^_-)-☆」
『美味しい?(^_^;)』
「ああ、まあ、あんなモンやろ。九州は関西の味付けに似てるからなあ(^。^)y
それはそうと、今日は何処に行きたい?香織さんの行きたい場所って?」
『うふふふ♪ねえ、高雄の神護寺って遠い?車で無いと行けない?(^_^;)』

「神護寺?・・・・・(*_*;・・・・・・)」
優一には香織の行きたいと言った場所が意外であった・・