ノブ ・・第3部
ボクは、目の前に広げられた恭子の花園を舐めようと首を上げたのだが、その時、脇腹にズキっと鋭い痛みが走って首を上げられなかった。
「痛い!」
恭子はオチンチンを舐めるのを止めて言った。
「やけ言うたろ?アンタは動かんで良かって」
そして、向き直ってゆっくりとオチンチンを花園に入れた。
「あ・・入ってきよる、アンタのが」
「こうして、うちがゆっくり動いたら痛くならんとやない?」
「うん、任せるよ、恭子に」
恭子はボクの腰の上に足を広げて跨って、オチンチンをすっぽりと花芯に呑み込んだ。
「アンタでいっぱいやけ、うちの中が」
そう言いながら目を閉じて、ゆっくりと腰を前後に動かす恭子。
ボクはオズオズと両手で恭子のオッパイを揉んだ。
「大丈夫なん?」
「うん、これ位なら・・」
可愛いピンクの乳首が、硬くなってる。
ボクは優しく、時にちょっと強く摘まんだ。
「・・気持ちいい?」
「うん、良か」
「アンタは?」
「うん、オレも気持ちいいよ」
そのうち、恭子の荒い息遣いだけが聞こえる様になり、恭子の腰の動きが段々と速くなっていった。
「いかん、うち・・・」
「もう、イってしまうかもしれん」
恭子は眉間に皺を寄せて、やっとそう言った。
「うん、オレもヤバいかも」
「な、一緒に・・な?」
「うん」
「あ、いかん!」
恭子はそう言うなり我に帰ったように、ボクの上から飛び降りた。
「ど、どうしたの?」
「あれ、付けな・・」
そう言うと恭子はボストンバッグからコンドームを取りだして、袋を破った。
「アンタもまだ、お父ちゃんには早やかろ?」
「そうか、ごめん、気付かなかった・・」
いいと・・と恭子はヌルヌルのオチンチンに手早くスキンを被せた。
「これで安心ばい」
「さ、仕切り直しやね・・」
恭子はまたボクの上に跨り、今度はスルっとオチンチンを飲みこみ腰を前後に動かしだした。
「う〜ん、良かね」
「うん、付けてても感じる・・」
ボクは多少の違和感を感じたが、お陰でもう少し長持ちしそうだった。
それでも恭子の花芯の締め付けと、グリグリと押し付けられる恥骨の感触は、ボクの限界をあざ笑うかの様に気持ち良かった。
「あ〜ん、アンタ・・うち、もうイっても良か?」
「うん、いきそうだよ、オレも」
「あ〜、ダメっちゃ!」
「オレも!」
恭子の締め付けが一層強くなって、恭子はボクの腕を強い力で握りしめた。
ボクはその瞬間、弾かれた様に射精した。
ゆっくりとボクの上に体を載せて、恭子は喘いだ。
汗が混ざり合って、ボクは恭子を抱きしめて言った。
「最後は痛いの忘れちゃったよ」
「アンタ・・・」
「感じてしもた」
「オレも」
耳元で聞こえる恭子の息遣い、それは懐かしい京都を思い出させた。
ボクらは繋がったまま、動かなかった。
いや、暫くこのまま動きたくなかったのかもしれない・・恭子もボクも。
どの位眠ったのだろう、目を覚ますと恭子はまだボクの脇で小さな寝息を立てていた。
目を閉じて軽く口を開けて。
二人の体にはタオルケットがかかっていた。
多分、ボクが寝入った後に恭子がかけてくれたのだろう。
「恭子・・」
ボクは恭子の髪を撫でながら、今更ながらに自分のしでかした事の重大さに押し潰されそうになった。
どれほど傷付けてしまったのか、この可愛らしい女の子を・・。
「ごめんな」と呟いて、ボクはゆっくりと起き上った。
「いてて!」
幸い、恭子は目を覚まさなかったので、ボクはダイニングで一服した。
テーブルの上には、氷が全部溶けてしまって薄くなったアイスコーヒーがサーバーに残っていたから、それを飲んだ。
ちょっと濃い麦茶の様なコーヒーだったが、渇いた喉には有難かった。
窓の外はもうとっぷりと暮れて、時計の針は八時過ぎを指していた。
随分寝たんだな・・と二本目に火を点けた時、恭子も起きてきた。
「・・何しよると?」
「うん、コーヒー飲んでた」
「もう、起きたら隣におらんとやもん、ビックリしたっちゃ」
そう言いながら恭子は、ボクの飲みかけのアイスコーヒーを一気に飲んだ。
「ふ〜、のど渇いてしもた」
うん、同じ・・とボクは言いながら新しいアイスコーヒーを淹れようとケトルに水を入れて火にかけた。
「な、アンタ・・」
「なに?」
「明日、一緒に行かん?うちと」
「え?どこへ?」
「九州・・」
ボクは、サーバーに氷を入れる手を止めて振り返った。
そこには恭子の真面目な顔があった。
「九州って・・いきなりだな」
「ごめん、さっきな、アンタの寝顔見ながら考えとったと」
実家には二、三日もいれば十分であろう事、そして美術部の合宿が京都であると言えば、また五山の送り火まで二人でいられる時間を作れるのではないか・・と恭子は言った。
ふ〜ん・・正直、ボクは面喰って悩んでしまった。
そのうちにピーッ!とケトルが鳴って、ボクは火を止めてフィルターの上の豆にお湯を注いだ、ゆっくりと。
「そりゃ、オレだって行きたいし恭子と一緒にいたいけどさ・・」
「けど、なん?」
「ごめん、金欠なんだよ」
「それだけ?」
「え?あ、うん・・金欠」
「他にここを離れたくない訳とかは、無いん?」
「うん、無いけど?」
何となくではあったが、恭子の言いたい事も分かった気がした。
ドリップの豆がムクムクと膨らんだ。
ボクはそれを見つめながら、のの字にお湯を細く注いだ。
「一緒にいられるんなら、オレ、どこでも行くよ」
「でもさ、お金かかるじゃん?まさか恭子んちに泊まるわけにもいかないだろ?」
う〜ん・・と恭子は少し思案気に言った。
「な、気ぃ悪くせんで聞いてくれる?」
「うん、なに?」
「お金やったら、うちが何とかする」
「貸してくれるって事?」
「ううん、貸すんやなくて・・うちが面倒みるけん!」
もし一緒に行ってくれるならと言いながら、恭子の目は真剣だった。
ボクは最後のひと回し、お湯を注いでケトルを置いた。
サーバーの中の氷が、ピキピキと爆ぜた。
「うん、行くよ、一緒に」
「その代わり、お金は貸して?」
「ええんよ、うちが出すけん!」
「ううん、借りるよ。で、新学期になったらでいい?返すの・・・」
違う、逆だ・・と恭子は言った。
「貸してしもたら、いつ返してくれるんやろ・・とか考えるやろ?」
「うん、そりゃね」
「やけん、うちがだす。したら返すも返さんもなかろ?」
「でも、それって・・」
「良かとよ。うち、こう見えても倹約家なんよ?仕送りの残った分とかが貯まっとるけね、大丈夫!」
「それに合宿代貰うっちゃけ、贅沢は出来んでもアンタと二人分位なら何とかなるばい」
恭子・・ボクはマジマジと恭子を見つめた。
恭子は照れくさそうに舌をチロっと出して言った。
「その代り、うちが貧乏になったら助けてな?この先・・」
「いいけど、そりゃ勿論」
「前にお金の貸し借りで嫌な思いしたけんね、貸すって好かんのよ、うち」
思い出した、恭子の昔話。
貸したお金も返してくれないダメ男・・・。
「分かったよ、恭子の世話になるよ」
「嬉しか!したらまた暫くはアンタと一緒におられるっちゃんね?」
「うん、そういう事だね」