ノブ ・・第3部
リエ坊のくぐもった声が大きくなって、ボクは体を離した。
「入れるよ、いい?」
「うん、きて!」
リエ坊は半分閉じた目で、ボクを見て言った。
「私って、いやらしいのかな・・」
「どうして?」
「嬉しいんだもん・・感じるの」
良かった・・とボクは答えながら、オチンチンをあてがった。
「シン、軽蔑しない?」
「なんで?そんなのする訳ないじゃん!」
リエ坊が足を開いて、ボクを受け入れた。
「う〜ん、きたよ」
「入ったね、オチンチン」
「うん、入って来た・・あ〜ん・・」
リエ坊は小さく声を上げながら、抱き付いてきた。
軽蔑しないで、いやらしい女って思わないで・・と言いながら。
「軽蔑なんてしないよ、感じてくれるリエさん・・・可愛いもん」
「ほんと?本当にそう思う?う〜ん・・」
「じゃ、いいの?こんな風に感じちゃって・・」
「うん、嬉しいよ」
シン・・と言いながらリエ坊はボクの頭を掻き抱いた。
「リエさん」
「あ〜ん、なに・・?」
「イヤらしい女が好きだ・・って言ったら、どうする?」
「シン、そうなの?」
「うん、オレ・・・自分がいやらしいから、いやらしい人、エッチな人・・好きだよ!」
そう言いながらボクは、さっきよりも大胆に腰を振った。
「あ〜、何か・・・凄いよ?!さっきより」
ズンズンくるの・・・とリエ坊は喘ぎながら言った。
「私、イヤらしいの?イヤらしくても・・いいの?う〜ん・・」
「うん、いいよ、いやらしくても・・・それが素直なリエさんだったらね」
「あ〜ん、シン」それでもリエ坊は必死に声を抑えていた。
素直なわたし・・・リエ坊は小さくそう言いながら、ボクを見た。
「私、これでいいんだよね?」
「うん、リエさんが感じてるんなら、それでいいよ・・無理してない?」
「してない、ムリなんか!」
リエ坊がキスしてきた。
まるでボクの舌を引き抜こうとするばかりの、強烈なキスだった。
「好きすき・・シンが大好き〜!」
「リエさん」
「痛くない?」
「大丈夫、して?!ね・・シン、もっとして?」
分かった・・と、ボクはオチンチンの出し入れのスピードを上げた。
「平気?」
「うん・・」リエ坊の眉間に皺が寄ったが、ボクは止めなかった。
もう、最後の大波がそこまで来ていたから・・・。
「リエさん、イッちゃうよ?いい?」
「うん、いいよ」
リエ坊はそれだけ言うのが精一杯だったんだろう、後は口を大きく開けて声にならない息だけを吐いていた。
大波が来て、ボクは勢いよくオチンチンを引き抜いて射精した。
勢いが付き過ぎてビンと反り返ったオチンチンから発射された精液が、リエ坊の顔まで飛んだ。
「ごめん、飛んじゃった・・」ボクはそう言いながら、リエ坊の上にダウンした。
お互いの胸が大きく弾んで、ボクは力なくリエ坊に全身を預けた。
ハァハァ・・と喘ぐボクの頭を、リエ坊は優しく撫でてくれた。
「顔に・・かかっちゃったね、ゴメン」
「ううん、いいの・・」
でも、ビックリしたけど・・・とリエ坊は笑った。
ボクはさすがにクタクタになってしまい、リエ坊の横にゴロっとなって天井を向いた。
ふと横を見ると、リエ坊が頬に飛んだボクの精液を指で拭って言った。
「カルピス・・・」
「え?」
「良く言うでしょ?オトコのカルピスってさ・・」
「あは、言うね、確かに。白いからかな?」
「味はどうなんだろうね・・」リエ坊は、拭った精液をペロっと舐めた。
「苦いよ、シンのカルピス」
「バカ・・」ボクは笑いながらリエ坊を抱きしめた。
「そうか・・苦いの嫌いだったね、リエさんは」
「分かんないよ?コーヒーだって苦いブラックが好きになったんだから」
「あはは」
ボクは笑いながらティッシュを取った。
「拭いて」
「・・うん」
リエ坊はティッシュで顔を拭いて、丸めてゴミ箱に投げた。
ティッシュは、縁に当たって入らなかった。
「あ〜ん、もう」
起き上ろうとするリエ坊を、ボクは抱きとめた。
「いいよ、そんなの後で」
「もう少し、こうしてようよ・・」
「・・うん」
「リエさん、平気だった?」
「何が?」
「オレ、結構本気で動いちゃったけど・・痛くなかった?」
「・・うん、ちょっとね、痛かったけど、それよりも」
「それよりも?」
「気持ち良かったの、初めての時よりも・・さっきよりも・・・」
「段々良くなってきちゃった・・・だから聞いたのよ」
「・・いやらしいかどうかって?」
「うん」
ボクは、リエ坊の頬っぺたを舐めて言った。まだ少し苦かった
「言ったじゃん?いやらしい人、好きだって」
「それに、ちっともおかしい事じゃないよ、感じるのって・・」
「じゃ、私が・・・変なんじゃないのね?」
「うん、変なんかじゃないよ」
「良かった・・」リエ坊が安心した顔で、目を閉じた。
「お母さんも、本当に好きだったのかな・・」
「え?」
「さっきね、してる最中に思い出しちゃったの、お母さんのコト」
「リエさん・・・」
「あ、平気よ?もう・・」
「でもさ、やっぱり似てるのかな・・・とか思っちゃって、だから聞いたの」
「似ててもいいんじゃない?」ボクはリエさんを抱きしめて言った。
「あんな素敵なお母さん、滅多にいないよ?!」
「シン」
「リエさん、可愛かったし素敵だった・・最高に感じちゃったもん」
「セックスで感じるのはさ、いやらしいんじゃなくて・・好きな人とだったら当たり前なんじゃない?」
「そうなのかな・・・そうだよね、好きだから感じるし嬉しいんだよね」
「うん、そう思うよ、オレは」
そうだよね、有難う、シン・・・リエ坊が呟いて、ボクの胸で丸くなった。
そして程なくリエ坊の規則正しい寝息が聞えてきて、ボクはリエ坊にタオルケットをかけてソロソロと起きだしてキッチンに行った。
窓越しのグレーの薄明かりの中で、ボクは煙草に火を点けた。
オレンジ色の煙草の先からは、白い煙がフワフワと天井目指して昇っていった。
そして天井にぶつかって行き場を失った煙は、ただ・・漂うしか出来なかった。
そしてボクも、ただそれを見つめるだけだった。
フィルターぎりぎりのセブンスターを灰皿に押し付けて、ボクは寝室に戻った。
リエ坊は体を丸めて、スヤスヤと健康な寝息をたてていた。
ボクは注意深くリエ坊を起こさぬ様にタオルケットに潜り込み、横向きのリエ坊の隣に仰向けになった。
そして天井を見つめながら、昨日からの出来事を思い返していた。
あんな風に言われて、どうしたら良かったんだろう・・本当にこれで良かったのか・・・。
さゆりさんのコト、リエ坊のコト・・・恭子には何て言えばいいんだ?
いや、いい訳なんて・・どう頑張ってみても出来はしなかった。
「言える訳ないよな」
薄暗い天井を見つめながら、ボクはため息をついた。
堂々巡りの頭を抱えて、ボクは目を閉じた。
そして、クーラーの音に耳を澄ませて・・・寝た。
「・・・て?」
「シン、そろそろ起きて・・」
「うん・・?」ボクは、リエ坊に揺り動かされて目を覚ました。
「・・あ、お早う」
「おはよ!朝ごはん・・出来てるよ!」
ボクは眠い目を擦りながら、リエ坊の姿に驚いた。



