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長浜くろべゐ
長浜くろべゐ
novelistID. 29160
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ノブ ・・第3部

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「なに言ってるのよ、これ位」
「ちょっと、お手洗い・・・あ、ウーロンハイ、頼んどいて?!」とリエさんは言い残して、店の奥に消えた。

「でもよ、何で男作らないんだろうな、アイツは」
タカダが、店の奥を見やって言った。


「さぁ、なんでですかね・・」
「まさか、まだ引き摺ってるんかな、酒井のコト」

そうか、そうなんだ、きっと!ボクは自分の鈍感さに呆れた。
「それでしょうね、多分」
「うん、オレもそう思う・・どうするよ、シン!」

いきなりタカダに振られて、ボクはまた慌てた。

「どうするって、どうするんですか、一体」
「お前、聞いてみ?!」
「そんな、ムリっすよ、無理!」

「ムリじゃね〜って、お前なら聞けるさ・・確かめてくれよ、な?」
「だって・・」
「オレじゃよ、ほら、アイツのコトだから素直にゲロしね〜って」

「そんなコト言われたって・・じゃ、オレが怒られたらど〜すんですか?!」
「いいじゃん、ここ、奢るからよ、頼むって・・な?」
タカダにおがむ真似をされて、ボクが困っているところにリエ坊が戻ってきた。

「頼んどいてくれた?ウーロンハイ」
「あ、すいません、これからです」
もう、しょうがないわね・・と、リエ坊はウエイターに向かって自分でオーダーした。

ほれ行け!とテーブルの向かいからタカダが目で促した。

仕方ない、もうどうにでもなれ・・だ!

「あの、リエさん?」ボクは横のリエ坊に少し改まって聞いた。

「その・・男性って言うか、彼氏を作らないのはどうしてですか?」
「なに〜?シンまでそんなコト聞くの?!」
「あ、いや参考までにっていうか、何でかな〜って」

リエさん、綺麗だからもてると思うし・・と、ボクは必死だった。

「聞きたいの?」
「あ、もし嫌じゃなかったら・・です、はい」

「ふふ、アンタ達が考えてる理由は、外れね、多分」
「え、じゃ、サカイさんのコトがまだ好きだからじゃないんですか?」

言ってしまってからボクは、テーブルの向こうからのタカダの視線に気付いた。遅かったみたいだけど。
お前、なにいきなり直球投げてんだよ!と、タカダの目は言っていた。

リエさんはボクの言葉を聞いたあと、ゆっくりとボクら2人を見まわして言った。

「あのね、酒井君の事は、もう何とも思ってないのよ」
「ほんとか?」
「本当よ、嘘なんかつかないわ」

「私ね・・いいか、話しても、アンタらには」
リエ坊は俯いて、テーブルの上に両手を組んだ。


「・・私ね」
「はい・・」

何となく硬くなったリエ坊の表情に、ボクは少し緊張した。
見ればタカダも、もう笑ってはいなかった。

「アンタにも話した事ないんだけどさ、うちの事情、知ってる?」
「いや、詳しくは知らね〜けど?」
「うん・・」

「うちの父親は商社マンでさ、年中海外飛び回っててね、家にいるのは、そうね・・」
「それこそ盆暮れ正月だけ、みたいな感じなのよ」

「ほう、そうなんだ」
「うん、そう」

それでなのかな・・と、リエ坊は一息ついて、ウーロンハイを一口飲んだ。

「高3のある日ね、何気なく早く帰った日があってね」
「ただ今〜って言って玄関入ったら、母親が慌ててさ、ベランダに出て洗濯もの取り込み始めたの」
「はぁ・・」

「あれ?まだ夕方になってないのに、どうして慌てて?なんて思ってね」
「何気なく、洗濯ものを入れるバスケットを見たら」
「真っ赤なショーツとブラジャーがあったの」

「うん、真っ赤なパンツか」
「私もね、その時は派手なの穿くんだな、お母さん・・位にしか思ってなかったんだけど・・」

リエ坊の表情がまた沈んだ。

「その訳が分かっちゃったのよね」
「え、派手な下着のワケですか?」
「うん、そう」
リエ坊のボクを見た目が、悲しそうな色をしていた。

「浮気してたの、お母さん」
「下着だけで分かるんか?浮気って」
「だって・・・」

聞いたし見ちゃったんだもん、現場・・とリエ坊は下を向いてしまった。

「その後暫くして、私、生理で具合悪くなって早退したのね」
「帰ったら玄関にチェーンロック掛かってたの」
「チェーンですか?」
「うん、チェーン・・」

「うちの辺りはさ、一時期泥棒が多くってさ、外出する時はチェーン掛けて勝手口から出るって、家族で決めたのね?!」

勝手口には、難しい暗証番号のダイヤルロックも付けてあったから・・と。

「で、てっきり、お母さん出かけてるんだと思って、勝手口から入ったんだ、家に」
「そしたらね、聞こえて来たのよ、2階の寝室から声が」

「はぁ〜、思い出しても気分悪くなりそ・・」リエ坊は頭を抱えた。

「声って、ひょっとして、お前のお袋さんのか?」
「そうよ、お母さんの、女の時の声」
「・・・・」

ボクは何も言えずに黙ってしまった。

「お前んちデカイもんな、勝手口から入った位の音じゃ聞こえねぇんだな、2階には」
「そんなにデカイんですか?リエさんちって!」
「おう、すげ〜ぞ?!なにしろ、楽器やるのにうるさいと困るってんでな、庭にプレハブのスタジオ造っちまった位だからな!」
「へぇ〜、凄い豪邸っすね」

いいのよ、そんなコトは・・リエ坊がボクらを睨んだ。
「聞く気あるの?私の話」

はい・・とボクとタカダは居ずまいを正して黙った。

「でね、初めは私も何の声か分からなかったからね・・恐る恐る昇ったの、階段を静か〜にね、怖かったからさ」
「そしたらさ、お父さんとお母さんの寝室のドアの向こうから聞こえるじゃない?声・・」

「お母さん、知らない男の名前も呼んでた」
「もう、耳を塞いで降りたわよ、階段」
「そしてね、勝手口からまた出て、結局近所のロイホで時間潰したの、暫くね」

はあ・・ボクは、自分に置き変えて考えてみたが、正直あんまり気分のいいものではないなと思った。
そりゃ両親だって人間で、男と女なんだから・・そういうコトもあるんだろうけど、浮気?!となると。

「でね、お母さんの顔見るの嫌だったけど、帰らない訳にはいかないでしょ?」
「具合も悪かったし・・」
「はぁ」

「だからロイホの公衆電話から家に電話してね、具合悪いから帰るって」

「暫くして、ただ今って帰ったら、もうチェーンは掛かってなくてね、すんなり入れたの」
「お母さん、お帰りなさい、大丈夫?って、いつもの顔でさ、何事も無かったみたいな」
「私、自分の部屋に行く前にベランダをチラっと見たのよ」
「そしたら、やっぱり干してあったの、赤いショーツ・・」

「それから暫くの間はね、お母さんの顔見るのさえ嫌でいやで」

リエさんはまた、黙って飲んだ。

「だから今でも、赤い下着って・・・大っ嫌い!何か不潔に思えちゃって」

「でもよ、それがお前の男嫌いの訳なんか?」
タカダが言った。

「まだ、途中」リエ坊に睨まれて、すいません・・とタカダは小さくなって黙った。

「一昨年かな、渋谷に行ったのね、友達と買い物に」
「その時、買い物の後ちっちゃいけど渋いライブハウスがあるからって、ブラブラ友達と探しながら歩いてたらね・・見ちゃったのよ」
「お袋さん、か?」
「うん、知らない男と腕組んで歩いてた」
作品名:ノブ ・・第3部 作家名:長浜くろべゐ