小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

リンコ

INDEX|7ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 


 その日の夜、そろそろパジャマに着替えて寝ようと、りんこと二人で寝室に入った時だった。玄関のチャイムが思いがけず鳴った。
「ピンポーン」
「誰だろう、こんな時間に……」
 不信に思いながら玄関へ向かい、ドアの覗き穴から向こうを見ると、女性の顔が覗いている。
「えっ! どうして長尾さんが?」
 彼女は悠介の同僚で、先輩でもある。確か年齢では四歳くらい年上だったと記憶している。悠介は不可解な面持ちでドアを開けた。
「悠介くん、こんばんわ。夜分遅くにゴメンネ! 今日会社を休んだでしょ?」
「あ、あぁ……」
「今まで君が会社を休んだことなんてなかったから、何だか気になっちゃって……。一度帰宅したんだけどどうしても気になったもんだから、こんな時間だけど来ちゃった! 病気なんでしょ? 具合はどう?」
「あ、…あぁ、えっとー。実はもう随分いいんです。朝だけ具合悪かったみたいで……」 
 悠介は嘘をつくことにした。
「そうだったんだ! 良かった。あのう、せっかくだからちょっとだけお邪魔してもいいかな? もしかしたら何も食べてないんじゃないかと思って、手作りの料理を少しだけど持って来たの。夕飯は?」
「え? えぇ、もう済ませました」
「はぁ、やっぱりね。もう遅いものね。でも良かったら少しお酒も持って来たのよ。一緒に飲まない?」
 どうしても上がりたいという様子が顕わに見えて、これは一度は上げないと帰ってくれないかもしれない。そう感じた悠介は仕方なく部屋へ通した。
「どうぞ。でも一部屋しかないから狭いですよ。散らかってるし――」
 彼女は、そんな悠介の言葉なんてお構いなしに、ずんずん奥へ入っていくと勝手にリビングのソファに座り、持ってきた料理やお酒をテーブルの上に並べ始めた。
「ほら、これ私の自慢料理なの。是非食べてね。あっと、グラスはどこかしら?」
 グラスを取りに行くため悠介が動こうとすると、それを遮って、
「あ、台所ね。私が用意するから」
 そう言うと、まるで自分の家の中にいるみたいに自由に動き回っていく。気が付くと、テーブルの上は料理とグラスと氷で溢れていた。
「ほら、何してるの? ぼうーっと立ってないで座って!」
 彼女は無理やり悠介の腕を引いて、ソファの自分の隣に座らせた。
「さぁ、飲みましょうよ」
 すべては彼女のペースで進んでいき、悠介はただ呆然と彼女の命ずるままに動いていた。
「じゃあ乾杯ね。カンパーイ」
「はい、乾杯」
 悠介がグラスを開けると、そこへ次々とお酒を注ぎ、そしてどんどん飲むように煽る彼女に、さすがの悠介も困惑してしまった。
「長尾さん、僕そんなに飲めないですよ。普段もほとんど飲まないから、そんなに飲んだら酔っ払っちゃいます」
「もう、悠介ったらぁ、何を言ってるのぉ。お酒は酔うために飲むものよぉ」
 長尾さんはすでにかなり酔っ払っているようだ。
「それに、長尾さんなんて呼ばないでぇー。私は由紀子よ。由紀って呼んでぇー」
「えっ、でも先輩を名前で呼び捨てなんて……」
「いいの! 私がいいって言ってるんだからぁ。由紀って呼びなさい!」
「は、はい!」
 最後は命令口調で言われて、つい気弱な悠介は頷いてしまった。
 飲みたくはないのに飲まないとまた叱られ、次第に悠介も酔いが回っていくのを感じていた。由紀は飲んで血の巡りが良くなったのか、しきりと「暑い」と言い出し、ついに洋服を脱ぎ始めた。
 悠介は酔っているとは言っても、目は見えている。由紀がついにはブラウスまでも脱いで、上はブラジャーだけになってしまった時には、自分の意思とは別のところで、下腹部が微妙に反応してくるのをどうしようもない思いでいた。それを知ってか知らずか、由紀の行動はどんどん遠慮のないものになっていき、ついには悠介のズボンの、こんもりとした部分にも手を触れてきた。
「あっ!」
 悠介には逆らいがたい誘惑だった。今まで女性と関係したことはない。もしこの機会を逃したらもう二度とないかもしれない。そんな強迫観念も始動した。
 悠介の身体にしな垂れかかって来る由紀の身体を支えながら、勇気を出してそのふっくらとした胸の膨らみにそうっと手を載せた。
まるでそれが合図だったかのように、いきなり由紀の唇が悠介のそれに被さってきて、あまりに咄嗟のことで除〔よ〕けようもなかった。
『こんなことしちゃいけない!』
 そう思う気持ちと裏腹に、下腹部はどんどん充血してゆき、すでにズボンの中ではちきれそうにまで膨らんでいる。その上を由紀の手がそっと撫でる。悠介の身体に、それまで感じたことのない電流が流れる。
 唇を合わせたその中から、由紀の舌が悠介の口の中に侵攻してくる。悠介の舌を捉え、ぬめぬめと絡まる。初めての感覚に悠介は我を忘れそうになっていく。
「ああぁぁ…由紀…さん」
 由紀は悠介のシャツを捲り上げると、その胸に唇を這わせそして、悠介の手を取ると自分のブラジャーの中へと誘導していく。もう、悠介には歯止めが利かなくなっていた。由紀の胸は白く柔らかく、悠介の手に滑らかに吸い付くようだ。思わず悠介は由紀をソファーに押し倒すと、由紀の乳房に吸いついた。
「ねえ、ベッドに行きましょうよ」
 由紀の声は妖魔のように悠介を誘惑した。
 言われるままに、悠介は寝室に由紀を誘い、由紀と悠介はベッドの上で絡まった。
 悠介にとっては初めての経験だったが、由紀は最初からそれを予測していたかのように悠介をリードして、そして最後は二人で果てた。
「悠介、良かったわあ、とっても」
「僕、本当のこと言うと初めてで……」
「ふふっ、そうじゃないかと思ってたわ。だって悠介、誰とも付き合ってる様子なかったし、私、ずうーっと悠介のことが気になってたの。悠介、私のこと嫌い?」
「えっ? そ、そんなこと……」
「じゃあ、好き?」
「は、はい!」
 その時の悠介は、性の欲望に溺れた瀕死の魚状態だった。一度その喜びを知ってしまうともう引き返せない。その後も二人は何度も身体を合わせ、そして隠微な声を出し合って、また何度も果てるのだった。
 そして性の交歓を何度繰り返した後だったろう、由紀がシャワーを浴びて帰ると言い出した。さすがに翌日は仕事だから、夜の内に家に帰ると言う。悠介は一緒にシャワーを浴び、由紀が帰るのを切ない思いで見送った。
 その一部始終を、ベッドの脇で熱い視線が見つめていた。
作品名:リンコ 作家名:ゆうか♪