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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・弐】焼き焦げ

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「…相変わらずチョ汚ねぇのなお前の部屋;」
京助が南の部屋を見渡して呟いた
「まぁ適当に居座ってくりゃれ」
慣れた足取りで足元のものを避けつつ南がクローゼットから丸めた大きな紙を取りだした
「居座れってもナァ;」
京助の後ろから顔を出した中島も南の部屋を見渡して言う
「少し片付けろよお前;」
中島を押しのけて南の部屋に第一歩を踏み入れながら坂田が言った
「仕方ないじゃん;京助ン家はいつ悠が帰ってくるかわからないしさぁ」
南が鉛筆と消しゴムを持ち戸に向って歩いてきた
「ハイハイどいてどいて」
そして南が廊下に紙を広げる
「あ、ラムちゃんそこの長い定規とって」
緊那羅のすぐ後ろに立てかけてある定規を南が指さした
「あ…うん;」
慧喜が取った定規を受け取り緊那羅がソレを南に渡す
「サンキュ~…でこんなとこに集まってもらったのはほかでもないんだ~…56ッと」
広げた紙にいくつかの数字を書いたあと長い定規を当てて印を付けながら南が言った
「他でもなかったらなんなんだよ;」
緊那羅に叩き起こされた京助があくびをしながら聞く
「作戦名は…ビバセイシュンIng!ヤキモチひっくり返し大作戦!っていってだな」
南が線を引きながら言った
「お前ソレ絶対今即席で考えただろ」
中島が南に突っ込んだ
「まぁいいじゃん? …そしてこの作戦には君達の協力が必要不可欠なんですわ」
南がにーッと笑って慧喜を見た

「悠助元気ないね?」
並んで歩いていた悠助に麻衣が声を掛けた
「…そうかな?」
明らかに無理してます的笑顔を麻衣に向けた悠助が足を止めた
「麻衣といるのつまんない? 麻衣のこと嫌い?」
悠助の顔を覗き込んで麻衣が聞く
「嫌いじゃない…けど…けど…」
俯いた悠助が口ごもる
「あのお姉さんの方が好きなの?麻衣は嫌い?ねぇ?」
そんな悠助に麻衣が容赦なく質問攻めをする
「悠助ーッ!!」
前方から自分の名前を呼ばれて悠助が顔を上げると緊那羅が走ってきた
「緊ちゃん?」
悠助と麻衣の前で足を止めた緊那羅がポケットから何か紙切れを出してブツブツ言った後紙切れをしまい息を吸った
「大変だっちゃ!!(棒読み)慧喜が無理矢理連れていかれたっちゃ(棒読み)」
傍から聞けばあきらかに演技だとバレバレの緊那羅のセリフに悠助が目を丸くした
「慧喜さんが…?」
「そうだっちゃ!!(棒読み)慧喜が心配なら一緒に来てくれないとうわーお!! ビックリ!! 慧喜があんなことやこんなことされちゃうかもしれないっちゃ(棒読み)…ってなんなんだっちゃこの文;」
さすがの緊那羅も最後の方の文章に突っ込んだ
「慧喜さんが…」
そんな緊那羅の明らかに演技ですセリフを完全に信じているような悠助が顔を上げて緊那羅を見た
「一緒に行けばいいの?」
真顔で見上げてきた悠助に緊那羅が頷いた
「一緒に行けば慧喜さん助かるんだね?」
いつものほほんとしている悠助の顔がいわゆる【漢】の顔になった
「悠助…行くの?」
麻衣が悠助に聞く
「ごめんね麻衣ちゃん!! またね!!」
麻衣に悠助が手を振って緊那羅が走ってきた方向に走っていく
「…ごめんだっちゃ」
麻衣の頭を軽く撫でて緊那羅も悠助の後を追った
「…子供だましね」
ふぅと溜息をついて麻衣は悠助と緊那羅に背中を向けて歩き出した