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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・弐】焼き焦げ

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顔を上げた慧喜が玄関の戸の方を見て顔をほころばせた後何故か顔をこわばらせた
聞こえてきたタタタタ…という足音は二人分で足音に混じって笑い声も聞こえてきた
「ちょっと待っててね」
悠助のそんな声とともに玄関の戸が開いた
「おかえり悠助」
息を切らせながら玄関に入ってきた悠助にどことなく不器用な笑顔で慧喜がいう
「ただいま慧喜さん!!」
悠助は満面の笑顔を慧喜に向けた後せわしなく靴を脱いで家の奥に走っていく
「あ…悠助?」
悠助を抱きしめようとした手を伸ばして後を追おうとした慧喜が開けっ放しの戸の方から視線を感じて動きを止めた
「悠助のお姉さん?」
慧喜が振り向くとソコには髪をツインテールに結んだ小さな女の子が一人慧喜を見ていた
「…誰アンタ」
そんな女の子を慧喜が軽く睨む
「高橋麻衣(たかはし まい)…」
【たかはしまい】と名乗った女の子が慧喜の睨みに脅える様子もなくそれどころか玄関の中に入ってきた
「お姉さんは?」
「…どうして俺がアンタに名前教えないといけないのさ」
慧喜が見上げてきた麻衣からふいっと顔を逸らせた
「麻衣ちゃんはい!」
パタパタと何かを持って走ってきた悠助が麻衣にその何かを手渡した
「ありがとう悠助」
麻衣が悠助から受け取ったのは一冊のノートで表紙には何人かの名前と【こうかんにっき】という大きな文字が書かれていた
「あ、慧喜さんこの子はね昨日いってた転校生の麻衣ちゃんっていってねー同じ班なの」
悠助が嬉しそうに慧喜を見上げた
「隣の席なんだよねー」
麻衣が悠助に言う
「今日僕が交換日記ノート忘れたから取りに来てくれたんだ」
そう言いながら悠助が靴を履き出した
「…どこか行くの? 悠助…」
慧喜がしゃがんで悠助に聞いた
「うん!麻衣ちゃん送っていくの」
立ち上がった悠助を慧喜がしゃがんだまま見上げた
「俺も行く」
慧喜が立ち上がると
「麻衣…このお姉ちゃん嫌い」
麻衣が慧喜をチラッと見ていった
「俺だってアンタ嫌いだよ」
そんな麻衣を慧喜が睨む
「いこ、悠助」
慧喜をジトッと睨んだ麻衣が悠助の腕掴んだ
「な…ちょ…!!」
そのまま麻衣に引っ張られて悠助が玄関から出たのを慧喜が裸足のまま追いかけると悠助のもう片方の腕を掴んだ
「悠助は俺のッ!!」
慧喜がそう言いながら悠助を引っ張る
「慧喜さん!?;」
慧喜の行動に驚いた悠助が麻衣に引っ張られながらも慧喜を見た
「駄目だよ! 裸足だもん!! 足冷たいし怪我…うわっ;」
力比べを本気ですれば当たり前に結果がわかる
慧喜の方に思い切り引っ張られた悠助と麻衣が倒れ慧喜が悠助だけを抱きとめた
見事に顔から転んだ麻衣はそのまま動かない
「麻衣…ちゃん?」
慧喜の腕の中から悠助が麻衣を呼んだ
「ふ…うゎあああああ!!」
顔を上げずに麻衣が大声で泣き出した