【第七回・弐】焼き焦げ
「…役者だな」
「…上手いな」
「…劇団四季に売り飛ばすか」
「…アドリブ大王」
3馬鹿と京助が矜羯羅を見て言う
「…んだかんだいって面倒見がいいというか世話焼きなんだよね矜羯羅って」
あくびをしつつ制多迦が矜羯羅を見て微笑んだ
「…ぶんから悪役を買って出るとか…よくある」
自分で自分の頬をつねって制多迦が小さく言った
「…んとうはね矜羯羅は凄く優しいんだ…でも不器用なんだよね; だからよく人に恨まれたり憎まれたり…矜羯羅言い訳もしないから」
そして制多迦がうんうんと頷く
「それはそれは…やたらいいヤツじゃん;」
中島が矜羯羅を見た
「…ん、いいヤツ」
制多迦が笑う
「…くの相方が矜羯羅でよかった」
そう言って目を細めた制多迦を3馬鹿と京助、緊那羅が見て顔を見合わせた後自然と笑顔になる
「…そうですね…」
軽く会釈のように頭を動かして柴田が微笑みを制多迦に向けた
「…ん」
制多迦も柴田に微笑みで返した
「慧喜さん…」
悠助が慧喜を見た
「…矜羯羅様…」
矜羯羅に抱き上げられたまま慧喜が困った顔で矜羯羅と悠助を交互に見た
「きょんがらさん…」
名前を呼ばれて矜羯羅が笑顔を悠助に向けた
「何?」
慧喜を抱えなおして矜羯羅が返事をする
「…慧喜さん…と結婚するの?」
悠助が聞く
「悠助…俺は…」
「黙って」
慧喜が悠助に何か言おうと口を開くと矜羯羅が慧喜の耳元で小さく言った
「悠助には可愛い子がいるんでしょ?ならいいじゃない…」
矜羯羅(がにっこり笑う
「麻衣ちゃんは…僕は…」
悠助の両手がぎゅっと握られた
「僕は…慧喜さん…」
そんな悠助を慧喜が不安そうな顔でじっと見ている
「なんだか俺今スゲェドラマ見てるような気がしてならないのですが」
中島が隣にいる京助に言う
「…なんだかなぁ…;」
京助が頭の後ろで手を組んで口の端を上げた
「どうですか京助さん自分の弟が今一皮剥けようとしている現場を目の当たりにして」
坂田が京助の前にマイク(と思ってください的右手)を出して聞く
「いやぁ…本人二股してますし」
南が言うと京助が南をどつく
「しかも男とヒマワリに」
坂田がハッハと笑う
「してねぇッてんだろがッ!!!!;」
京助が怒鳴る
「どうですか緊那羅さん二股かけられている感想は」
中島が緊那羅にマイク(と思ってください的左手)を出して聞く
「へっ!?;」
いきなり話題にいれられた緊那羅が素っ頓狂な声を出した
「私…が何だっちゃ?;」
「反論しねぇのかよッ!!!;」
自分を指さしてうろたえる緊那羅に京助が怒鳴る
「反論って…いわれても;」
緊那羅が耳を塞いで京助に言う
「夫婦喧嘩は犬も食わないってねぇ」
「誰が誰と夫婦だ!!!;」
坂田の胸倉をつかんでガクガク揺すりながら怒鳴る京助に何が何だか把握できていない緊那羅はただ京助を見る
その横で制多迦がアクビと伸びを同時にしていた
「なんなら…此処で誓いの口付けとか…してみようか? 慧喜」
矜羯羅が言うと悠助が目を大きく見開いた
「え…っ…」
悠助に負けないくらいに目を大きく見開いた慧喜が矜羯羅を見る
「ね?」
そんな慧喜を矜羯羅が笑顔で見ると顔を近づける
作品名:【第七回・弐】焼き焦げ 作家名:島原あゆむ