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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・弐】焼き焦げ

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「…じれったい」
矜羯羅が吐き捨てるように言った
「じれったいって言ってもしょうがねぇじゃん;」
京助が矜羯羅に言う
「悠も悩んで…ってオイ!!;」
「矜羯羅様?;」
慧喜の手を掴んだ矜羯羅が部屋から出て行く
「コラ!!; 主役連れてドコ行くんだよ!!;」
中島と坂田が追いかける
「…っこう短気だから矜羯羅」
半分呆れたような笑顔を南と京助に向けた制多迦も矜羯羅たちの後を追って部屋から出た
「…そのようで」
ヘッと笑った京助も南と共に部屋から出る
「矜羯羅様…」
「今回だけだからね…面倒くさいことは嫌いだから」
慧喜を振り返りもせずに矜羯羅が言う
「オイってば!!;」
追いついた坂田が矜羯羅と慧喜の手を掴んだ
「どこ行くってんよ;」
同じく追いついてきた中島が聞く
「決まってるじゃない…悠助の所」
ゆっくりと振り返った矜羯羅が坂田の手を振り払う
「は?;」
「僕面倒なこと嫌いなんだよね」
再び慧喜の手を掴むと矜羯羅が歩き出す
「ちょい待ち!!; 行くならせめてコレ着て!」
南が両手に何やら持って追いついた
「コレ…」
慧喜がソレを少し摘んで持ち上げる
「即席だからあんま見栄えはよくないけど勘弁ね; お姫様?」
南が笑った

「悠助…」
慧喜の声がして悠助が顔を上げた
「え…慧喜…その格好…」
真っ白いドレスの裾を引きずらないよう軽く持った慧喜の隣には矜羯羅がいた
「慧喜(えき)さん…」
悠助に名前を呼ばれたからなのか嬉しそうに眉を下げた慧喜を見て矜羯羅が慧喜を片手で抱き寄せた
「こ…んがら様?」
「きょんがらさん…?」
目をぱちくりさせて矜羯羅を見上げる慧喜と呆然としている悠助に矜羯羅が微笑を向けた
「矜羯羅…?」
緊那羅と柴田も矜羯羅を見る
「コッチの世界で結婚する時に着る服なんだってねこれ…」
矜羯羅がにっこりと笑ったまま悠助に言った
「え…うん…ウェデイングドレスだよ?」
悠助が答える
「結婚…?」
緊那羅が慧喜の格好を改めてまじまじと見た
「南君の手作りだね…相変わらず器用だなぁ」
柴田が立ち上がり目を細めた
「あの服は女性が一番幸せになりたい男性と幸せになるために着る服なんだ」
腰に手を当ててさりげなく柴田が緊那羅に説明する
「幸せになるために着る服…だっちゃ?」
真っ白く長く時たま風に靡くそのウェディングドレスを緊那羅が見つめる
「着たい?」
柴田がいたずらっぽく緊那羅に笑いかける
「な…ッ!! 私は男だっちゃッ!!」
緊那羅が怒鳴った
「似合うと思うよ緊那羅君」
ハハッと笑って柴田が緊那羅に背中を向けた
「…ッ…;」
何かまた怒鳴ろうとして緊那羅が口を開こうとすると肩を叩かれて振り返る
「よ、ご苦労ご苦労…台本と違うけどな;」
京助が緊那羅の肩に手を置いたまま悠助を見る
「ラムちゃんお疲れ~」
ヒラヒラと手を振って3馬鹿もやってきた
「若…展開違うんですけどいいんですか?」
柴田が坂田に聞く
「…いんじゃね?予定は未定で決定じゃなきに」
坂田が柴田に言う
「そんなもんなんですか?」
「そんなもんだ」
坂田が答えると南と中島、京助も【同感】とばかりに頷いた
「その服を着た慧喜の隣に僕がいる…ということはね」
悠助の目が大きく見開いた
「矜羯羅様!?;」
同時に慧喜も声を上げた
「わかる? 慧喜は僕と結婚するの」
慧喜をいわゆるお姫様抱きをして矜羯羅が悠助に笑みを向ける