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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・弐】焼き焦げ

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緊那羅から聞いたことを疑うこともせず走り続けて坂田家の前に来た悠助が膝に手をついて荒く乱れた息を整えた
「し…柴田さんに…会えばいいんだよね?」
顔を真っ赤にして少し息苦しそうな悠助の背中をさすっていた緊那羅に悠助が聞いた
「え? …あ…うん;」
緊那羅が慌てて頷く
「…本当にごめんだっちゃ悠助;」
悠助の背中をさすりつつ緊那羅がボソッと謝ると悠助が門の隣にある小さい方の出入り口に足を進めた
「…慧喜さん…」
ぐっと握りこぶしを作った後ソレを解いてインターホンに指を伸ばした

「柴田さんお見えになりやした」
三枚目のチーズおかきを半分に割っていた柴田に三浦が声を掛けた
「わかった。お前は若に伝えて来い」
側にあった番茶を一口 口に含むと割りかけていたチーズおかきを咥え柴田が歩き出した
「…変わりつつあるな…」
柴田が独り言をいいふっと笑った
玄関まで通じる長い石畳の道に通された緊那羅と悠助の前に笑顔で現れた柴田を緊那羅が思いっきり睨む
「やだなァ; まだ嫌われてるみたんだな;」
苦笑いで緊那羅を見て柴田が言う
「柴田さん!!! 慧喜さんは!?」
そんな柴田のスーツの裾をつかんで悠助が聞いた
「大丈夫今は無事だよ悠助君」
ポフっと悠助の頭の上に置いた柴田の手を緊那羅がペシッとたたいた
「さてっと…」
緊那羅に叩かれた手を振りながら柴田が悠助を見た
「悠助君は慧喜さんをどう思っているんだい?」
「え…?」
しゃがんで悠助の目線にあわせるようになった柴田が笑顔で聞く
「難しいかな…じゃぁ悠助君は誰と一緒にいたい?」
質問を変えて柴田が再び聞いた
「一緒…に?」
悠助が質問を繰り返して俯いた
「…視線がちょっと痛いかな緊那羅君;」
突き刺さるような視線を絶えず柴田の背中に送っている緊那羅に柴田が言った
「…僕はみんなと一緒にいたい…慧喜さんとも一緒で…京助とも緊ちゃんとも…」
悠助が答える
「うん、そうだね…じゃぁ今一番会いたい人は?」
柴田が笑顔で再び聞いた
「今…?」
「そう、今一番会いたい人…悠助君は誰に会いに何のためにここに来たのかな?」
顔を上げた悠助に柴田が笑顔を向けた