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天才飯田橋博士の発明

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2 見た目得点表示装置



飯田橋博士が部屋に入ると、助手の神楽坂舞子が気の抜けた様子で「おはよ~ございます~」と挨拶をした。せっかく盛り上がっていた恋愛気分がひいてしまったせいだろう。

しかし博士は上機嫌で話し出した。
「この前は、私が天才ゆえに高性能過ぎる器械を作ってしまった。しかし今度は力をセーブしてな、夢のような器械のアイデアを得たんだ」

舞子は、「はあ~、そうですかぁ」と気のない返事をする。

「この発明の特許をとり、いずれ量産化も可能になる。そうすればボーナスもいっぱい出せる筈だ」そう言って、工房に入っていった。

ボーナスという言葉で一瞬反応した舞子だったが、役に立たなかった過去の珍発明の数々を思い出し、ふ~っとため息をついた。


数週間経って、博士は「出来たぞ~」と叫びながら工房を出て来た。

舞子が見たものは、前回の 高性能情報伝達装置 と見た目が同じだった。
「博士、これはこの前の器械じゃありませんの」と舞子は博士に尋ねた。

「いや、外側は流用したが、中身は全く違うものだ。これを【見た目得点表示装置】と名づけた。これを装着して街を歩く。そして誰かが自分の姿を見たとする。その視線からデータを得て、それを数字に表示できるようになっている。解るかな、ああ神楽坂君、これをつけてタバコを買ってきてくれ。この器械の出来具合もテストできる。ああ、他によるところがあればいいし、ゆっくりでいいよ」


舞子は、器械を装着して外に出た。誰かが舞子をちらっと見た。信号機のように三色の◯があり、数字が出た。1、2、2。舞子はさらに歩く。おじさんと視線が合う。2、3、1。
若い男の子がこちらを見た。1、1、2。「ふ~ん。私っって結構いけるのかもしれない」そう思いながら、タバコを買って喫茶店でコーヒーを飲んで帰った。

舞子は帰るとすぐに、「博士、説明して下さい。この色と数字は何?」と訊いた。

「ああ、まず色だが赤は、まあセクシーさかな性的魅力だ。そして青が知的魅力、そして黄色が全体的にただよう品格ということだ。数字は通信簿と一緒だ」

それを聞いた舞子は「ええええ~~~っ、この器械壊れています~」と、器械を外して博士に押しつけた。

「で、どんな数字が出たのかな」と博士が尋ねると、何も言わずに舞子はトイレに入ってしまった。

やれやれ、これでも設定を調整して甘くしておいた筈だがとぶつぶつ言った。そうだ、ついでに秋葉原に出て部品の調達をしてこようと思いたち、博士は器械を装着して外に出た。

1、1、1  1、2、1  1、1、1  

1、1、1  1、1、1  1、1、1 ………

博士は装着していた器械を勢いよく外して、目の前の神田川に放り投げた。




作品名:天才飯田橋博士の発明 作家名:伊達梁川