夢の途中6 (182-216)
妹美羽も含め、4年前に3人で北海道を旅行した折り藤野を尋ねてくれた。
『いやぁ~、アンタらすっかり娘さんらしなってェ~♪久しぶりやなぁ~♪変わり無いか?』
「うん、皆元気やで♪ (^^)v(^O^) 」
麻美は18歳でこの春から大阪医療短期大学看護科に入学し、奈美は21歳で大阪経杏花女子大学英文学部三回生と成っていた。
「おばちゃん、荷物!^_^(^_^)/」そう言って、香織が手にしていた旅行カバンと北海道土産の紙袋を二人で持ってくれた。
震災で奈良の社宅に孝則と世話になった折り、鞄を持ってくれたのは妹の美羽であったが、その代わり、可愛い姪っ子姉妹の小さな手を我手の左右に繋いだのが昨日の事の様に思い出された。
二人とも美しく成長し、心遣いも出来るようになったのだと思うと、嬉しい様でもあり、寂しいようでもあった。
妹、美羽も香織同様身長は165センチ程あって、同年代の女性としては長身の方であり、二人の娘もその遺伝子を継いだのか共に160数センチ在った。
更に共に細身脚長腰高の現代人体型で、近頃流行りの衣服を着れば雑誌のモデルにも見劣りしなかった。
「おばちゃん、ここ(関空)で夕ご飯食べて行く?それとも梅田か難波まで出る?お母さんに今日はアンタらが御馳走したげやぁ、って云われてんねん^^;・・」
『アララ、今日はアンタらの驕りか?そら気の毒やなぁ
(・_・;)・・・お母ちゃんには後で上手い事云うといたらエエがな♪(^_-)-☆ アンタらの好きなモン、食べたらエエねんよ♪』
「やっぱりな^^;・・きっとおばちゃん、そない云うわ、ってお母ちゃん云うてたわ^^;・・」
可愛い姪っ子に、香織が弱い事を妹、美羽はお見通しだった。
香織は二人に連れられ、難波まで南海特急ラピートでやって来た。
14年前震災から1カ月経った頃に、この姪っ子達の住む奈良に行く途中この難波に寄り、今は亡き夫、孝則と一緒にお好み焼きの店に入った事を思い出した。
最初は奈美の提案で、美味しいイタリアンの店に行く積りであったが、
『あ、ごめん・・・アンタらお好み焼きでもエエか?・・・』
「え?・・ああそうか、おばちゃん、お好み焼きが食べたいの?そら大阪来たらお好み焼きかタコ焼きやなぁ♪(^_-)-☆麻美、エエやろ?」
「うん、異議なし!(^^)v」
「おばちゃん、どっか行きたい店ある?」
『そやなぁ、確か道頓堀の【〇〇〇】云う店やったかなぁ?』
「ああ、そこは少し前に潰れたわ・・ウチ等もよう行って美味しかったけどなぁ・・そこと似たような味の店やったらかまへん?」
『うん、奈美ちゃんに任すわ♪(^0_0^)』
奈美の案内で、道頓堀は戎橋商店街の路地の一筋を入った処の小さなお好み焼き屋に入った。
そこは10席のカウンターだけの店であり、目の前の大きな鉄板の上で年配の夫婦と思しき男女が色々のお好み焼きや焼きそばを焼いていた。
表通りでは無い為、恐らく【知る人ぞ知る店】であろう。
店は結構繁盛しており、香織達の前に4人程並んでいたが、店の回転は良い様で、15分程待つだけで店内に入れた。
店の中に入って香織はその訳を知った。
この店は酒類を置いていなかった。
純粋にこの店の味だけを味わいたい人だけ来れば良いと店主は思っているのかも知れない。
『奈美ちゃん、アンタ、よう来るんか、ココ?』
「うん、大学のサークル仲間とよう来るでェ♪(^^)/」
「彼氏とも♪やろ?(#^.^#)」麻美が合いの手を入れる。
「ウルサイ!麻美!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!」
『いやあ、奈美ちゃん、彼氏居るの?(=^・^=)聞きたいわぁ~♪』
「エヘヘへへ・・(^_^;)あんなぁ、大学のサークルの仲間で付きおうてる子がおんねん♪(#^.^#)
中塚忠司君って云うねんけど、福山雅治に似ててメッチャ恰好エエねん♪(≧∀≦) 」
奈美が顔を紅潮させて云う。
「あれが福山雅治かいな?(?_?) おばちゃん、<恋は盲目>とは上手い事云うなぁ・・(-_-)ゼンゼン、ミエテヘンシ」
そこに麻美のツッコミが・・・
「(--〆)麻美・・・・・・・・・・・カウゴ、シイヤ・・・・」
「^^;・・・・ああ、お姉さま・・・・・ユルシテ?」
香織は二人を微笑ましく眺めていた。
池田市の自宅には11時頃着いた。
3LDKのマンションで美羽が出迎えてくれた。
「お姉ちゃん、いらっしゃ~い♪(*^。^*) 疲れたやろ? もっとはよ帰って来ると思てたのに・・・
またこの子等に引っ張り回されてたんとちゃうかぁ?(――゛)・・」
『うふふふ♪そんなことあらへんて、この子等にはせんど笑わせてもろたわ♪(^_^)/
ホンマ、吉本、一回行かんで済ました♪(^^)v 』
「せやけど・・・ようこっちに来る気になったなぁ・・・」
『うふふふ♪そやなぁ、歳行って来たから【心境の変化】云うとこかなぁ?(#^.^#)』
「お店の方はどう? 繁盛してる?」
『まあ、ぼちぼちやってるよ♪(^。^)y 自分一人が食べて行けたらエエねんし・・
アンタこそ五十近くになって離婚して、別居が長かった云うても仕事しながら子供二人、育てるのも容易なことや無かったやろうに・・・堪忍な、お姉ちゃん、何にもしてやれんで・・我儘ばっかり云うて逃げ出して・・・お父ちゃんやお母ちゃんのお墓の事までアンタに背負わせてしもて・・・・』
「ナニ云うてんのお姉ちゃん、あんな辛い目ェにおうたら誰でも逃げ出したなる・・・
どんな形でも生きていてさえしてくれたから良かったんよ・・・
ウチも確かにあの人が外に女作って出て行った時は辛かったけど、あの子等に縛られてどないして生きて行こかと目の前暗なったけど、逆にあの子等が居たからこそ此処までやってこれたんやと思う・・」
美羽は3年前、22年間連れ添った伊吹武雄と離婚した。
伊吹は10年前16年間勤めた食品会社を退職し独立した。
在職中のコネクションを活用して健康食品の代理店を起業したのだ。
世は健康食品ブームで在り、【健康の為なら命も懸ける?】位の勢いだった。
その為仕事は順調に売り上げを伸ばし、年々従業員も増え、一時は50名位の営業マンも在籍していた。
その甲斐もあり、奈良は学園前の高級住宅地に敷地200坪の豪邸を建て、家族には裕福な生活をさせてやることも出来るようになった。
しかし、すっかり成り上がってしまった伊吹は方々に女を作り、次第に家庭を顧みない男に成って行った・・
美羽との再三の話合いでも態度が改まる事も無く、3年前、2年間の別居生活を経てとうとう協議離婚した。
娘二人の親権は美羽が持ち、二人が就職するまでの養育費の全額と、3人の親子が新たに住む住居の購入資金等諸々を慰謝料として受け取った。
そして美羽は3年前、「伊吹美羽」から旧姓の「林 美羽 」に戻っていた。
香織、美羽姉妹の旧姓は 「 林 (はやし) 」だった。
翌日、予ての約束通り、香織は優一と会う為朝から装いに余念が無かった。
[いやぁ~、おばちゃん、そのワンピース可愛い~♪(^_^)/]麻美が鏡の中の香織に言った。
作品名:夢の途中6 (182-216) 作家名:ef (エフ)