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長浜くろべゐ
長浜くろべゐ
novelistID. 29160
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ノブ  ・・第1部

INDEX|68ページ/80ページ|

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いきなりルームミラー越しに、運転手さんがボクに話しかけてきた。
「そうみたいですね」
「こんなもんなんですか?この時間は」

「そうやね、夏休みやから・・観光の車も多いんと違いますか?もう暫くかかりますな、こりゃ」
「はぁ」

ボクが話してる時、ボクの右手首を恭子が掴んだ。

「ん?」
「触っても良かよ、少しだけなら」

いつの間に起きたのか、耳元で言った。

「アンタ、退屈やろ?」
「ほら・・こうしちゃるけ」

恭子は足を心持開いて、ボクの掌を自分の股に当てた。

ボクは、ユミさんと前の二人に気付かれるんじゃないかと心臓がバクバクしてきたが、恭子は知らん顔で目を閉じていた。

前の二人からは背もたれで見えない、隣のユミさんは寝息をたてている。

ボクはルームミラーに注意しながら、恭子の股に置いた掌をゆっくりと撫でるように動かした。

「んん、気持ちいいっちゃ・・」
恭子はボクにだけ聞こえる様に、小声で囁いた。

「ね、直接」
「こうか?」

ボクも次第に大胆になって、ホットパンツの股の隙間から中指を入れた。

「いい・・」

ボクの中指が恭子の花園を探し当てて、上下になぞった。そこは明らかに雨によるものではない湿り気で、もうヌルヌルだった。
恭子は眉間に皺を寄せて、声を出すまいと耐えていた。

ボクも耐えた。
だってボクのオチンチンは湿ってきつくなったジーンズの下で、見事に勃起してしまったからね。

「恭子・・」
「ん?どうしたと?」

「その・・痛いんだけどさ」
「あ、ピンピンになってしもたっちゃね?」

ふふ、可哀想かばい・・と含み笑いしながら言った。

「不便やね、男は」
「仕方ないけど、これじゃ蛇の生殺しだ」

「待っちょって?おばちゃんちの部屋に帰ったら・・な?」
「じゃ、もう止めていい?」

「ううん、もうちょこっとだけ」

恭子はボクの肩に凭れて、また目を閉じた。


タクシーはやっと流れ出した七条通りを東に進み、右手に京都タワーが見えてきた。

「そろそろやね、お客さん」
「どこら辺に停めたらよろしい?」

ボクは素早く恭子の股から手を引き戻し、恭子も慌てて股を閉じて起き上がった。
そして、そ知らぬ顔で「もう、着くと?」と言った。

「じゃ・・タワーの前辺りで下ろしてください」

ボクと運転手さんのやり取りを聞いて、ユミさんと川村が起きた。

「うん?もう着いたのか?」
「早かったわね・・さすがに」
ボクと恭子は、顔を見合わせて笑うしかなかった。

幾分上気した顔のボクらに、気付いた人はいなかっただろうけど。





       京都タワー




ボクらは、京都タワーの前でタクシーを下りた。

「う〜ん、良く寝ちまったな」
川村が大きく伸びをしながら言った。

「私も、スコーンって・・気付いたらココだったって感じ」
「ほんと、二人ともよく寝てたよ」

「え、オガワっちと恭子は寝なかったの?」
「え?あ・・運転手さんと話したりしてたからね」

しどろもどろの返事だったが怪しまれた風ではなかったから、ホッとして恭子と目で笑った。

「でもさ、何か中途半端に乾いちゃって、変な感じだね」
「そうやね、でもタクシーの中、うちはちょっと寒かったっちゃ」
冷房が効き過ぎてて・・と恭子が言った。

「さ、帰るか」
「もう確かここ渡ったら、すぐだよな、おばちゃんの店」

「そうやけど」
恭子は、目の前の京都タワーを見上げて思案気だった。

「なに、どうしたの、恭子」

「せっかくやけ、登ってみらん?タワー」
「おばちゃん、7時っち言いよったけ、まだ少し早いっちゃない?」

ボクは時計を見た。
「うん、今・・6時半過ぎだから」
「昇る?」

「そうだな、高いとこから京都を眺めるのも、いいかもな!」
「よし、行こうぜ!」

ボクらは、タワーの建っているビルに入った。
中は観光土産のちょっとしたデパートみたいになっていて、大勢の観光客で混んでいた。

「へ〜、ここやったら・・お土産に困らんね!」
「うん、面白そう」
ユミさんと恭子がキョロキョロしだしたから、ボクは言った。

「ほら、お土産は帰る時でいいだろ?」
「早く昇ろうよ!」

「うん」渋々・・といった感じの恭子の手を引き、ボクらはビルの11階まで上がって、入場券を買って展望台行きのエレベーターに乗った。

エレベーターは、エレベーターガールとボクら4人を載せて、思ったよりもゆっくりと登った。
途中、タワーの解説のテープを聞きながら。

「意外と・・小さいっちゃんね」
「え?」
「このエレベーター」恭子が囁いた。

「お待たせいたしました、展望台に到着致しました」の声と共に、エレベーターの扉が開いた。

「うわ〜!」
「すげ〜な・・」
ボクらは息を飲んだ。

エレベーターを一歩出ると、そこには地上100メートルの京都のパノラマが拡がっていた。



夕暮れ間近の金色の斜めの光で、上から眺めた京都の街並は輝いていた。

展望室には他にも数人の観光客がいて、思い思いの場所に陣取り眺めたり写真を撮ったりしていた。

「へ〜、恭子、いいじゃん・・この眺め!」
ユミさんは小走りに展望室のガラスの手前の手すりまで行き、恭子を振り返って言った。
「うん、キラキラして見えるな・・・街がよ」
川村もユミさんの隣に行った。

「へへ、良かったっちゃ・・喜んでくれて」
「うん、いい選択だったよ」
「あの夕立で、空気が洗われたのかな?」

「ね、あっち行かん?」
恭子はボクの手を引き、丸い展望室の北側に回った。

「ね、あの大きい屋根・・本願寺さん?」
「そうだな・・手前が東本願寺で、奥に見えるのが西本願寺だろうね」

「やっぱ・・・別格やね、あの屋根の大きさ」
東西の本願寺の甍は確かに格別に大きくて、一際目立っていた。

その向こうには、さっきまでいた二条城も見えた。

「ね〜、オガワっち」向こうからユミさんがボクを手招きしながら呼んだ。
「なに?」
ボクらも東側に行った。

「あの、五重の塔は?どこのお寺?」
ユミさんと川村が、東側の山裾に建っている五重の塔を指して言った。

「あ、多分、八坂の塔だよ」
「お寺の名前は出て来ないけど・・ごめん」

「へ〜、八坂の塔って言うんだ」
「その右隣のお寺は?」
「清水寺じゃないかな?」
ほら・・清水の舞台も見えるじゃん?!とボクは2人に言った。

「ね〜ね〜、アンタ!」
「こっちの五重の塔は?」
いつの間にか、南側に行ってた恭子が、大声でボクを呼んだ。

「どれどれ?」
ボクらは、3人揃って恭子の方に移動した。

「あれっちゃ、あの高い塔」
「あ、あれは東寺の五重の塔じゃないか?」

「とうじ?」
「うん、昔、平安京の頃、メインストリートだった朱雀大路のね、南の入り口に羅城門ってのがあって・・」
「その門を入ってすぐの所、朱雀大路を挟んで東と西にお寺があってさ・・・東側が東寺、西側には西寺があったんだよ」

その東寺だけが、今も残ってるんだ。空海の真言密教のお寺としてね・・とボクは説明した。

「その東寺の塔だよ」
「昔からの五重の塔の中では、一番高いんじゃなかったかな?確かね・・」


「羅城門ってよ」