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長浜くろべゐ
長浜くろべゐ
novelistID. 29160
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ノブ  ・・第1部

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「でもさ、淋病は薬で治るんだろ?」
「剃っちゃう方が、おおゴトみたいだけど・・・」

バカだな、オガワは・・・と言いかけて「じゃ、続きは今度な・・」と川村は障子をガラっと開けた。

「お待たせ〜!上がったぜ!」

「はや!」
「なに、もう上がったの〜?」

おう、サッパリしたぜ・・と川村はドカリと胡坐をかいて座った。
「涼しいな・・クーラー効いててさ・・」
「うん、汗が引くね」
ボクも足を投げ出して座った。

「アンタ、ウーロンハイで良か?」
「あ、オレは・・ウーロン茶でいいよ、焼酎抜き」

どうしたと?もう、飲まんとね・・・と恭子が聞いてきた。
「うん、もう、オレ酔っちゃったみたい・・さっきも風呂出た時、心臓バクバクだったからね」

「なら、もう止めとき?」
「うん、お茶だけちょうだい!」

ハイ・・と恭子はグラスに氷を入れて、ウーロン茶だけ注いでくれた。
「川村君は?何にすると?」

「オレは・・ユミは何飲んでるんだ?それ」
「え、私もウーロン茶だよ・・もう、充分に飲んだもん」

「そっか・・・じゃ、オレはもうちょっと飲みたいから、ウーロンハイにしてくれるか?」

分かったちゃ・・・と恭子は川村のウーロンハイも作って渡した。

じゃ、みんなサッパリしたとこで・・カンパ〜イ!と4人はグラスをあわせた。
恭子一人だけが、小さめのグラスで焼酎のロックだった。

「ヨシカワ、強いんだな、マジで!」
「ふふふ、ほんと言うとな、うち結構飲めるっちゃ」
「私もビックリよ、恭子がこんなに飲むなんてさ・・・」とユミさんも驚いた様だった。

「それに・・」ユミさんが続けた。
「女の私から見ても、恭子・・何て言うか、色っぽいんだよね」

グラスを抱えて女座りで艶然と微笑む恭子は、ボクから見ても色っぽかった。

「有難う・・」
「なんか余裕だな、ヨシカワ」

「へへ、うち、嬉しいっちゃ」
「こうして4人で楽しく飲んでるとな、何か修学旅行みたいやけね」

「そうだよね、うちで誕生会やったのも楽しかったけど、京都だと・・ほんとに修学旅行だよね」とユミさんも嬉しそうに言った。

「じゃ修学旅行の明日のコースは、映画村と広隆寺でよろしいですか?みなさん」ボクが言うと、恭子が「アンタ、先生みたいやね、担任?」

あはは、随分と頼りない担任だな・・と川村が笑った。
だってさ、このメンバー見たら、どう見ても京都のエキスパートって顔じゃないじゃんよ・・とボクも笑いながら反論した。

「ま、オレだってエキスパートじゃないけどさ」とボクは言った。

「そうっちゃ、映画村はともかく広隆寺に関しては、うちの方がプロやけね!」
「何で?恭子、行ったコトあるの?」
「ないっちゃ・・」恭子は下を向いてモジモジして言った。
「でも、本では良く知ってるっちゃけ」

そんなんで、プロって言えるのかよ〜!と二人に責められて、恭子は弥勒菩薩に惹かれた由来を話した。

「ふ〜ん、国宝一号ね」
「そんなに、いいんか、その仏像」

「うん、うちも本物は見たコトない・・でも、綺麗で優しいお顔っちゃ」
「やけ、明日が楽しみっちゃね!」

「うん、本物を見るって大事だもんな」
「オレも楽しみだよ、明日が」

オガワっちと恭子は、何となく似あいそうなんだけどね・・とユミさんが川村を見ながら言った。
「あんたはね・・・どっちかって言うと、お寺より遊園地が似あいそうだもんね!」
「バカ言え、オレだって歴史に関しちゃ、ちょっとうるさいんだぞ?!」

「へ〜、そうなの?初めて聞いたし」ユミさんは川村をからかう様に突っ込んだ。
「どの辺に、うるさいの?」
明らかに挑発だったけどユミさんの目は笑ってた。
それに対して川村が小声で「鳴くよウグイス平安京・・」と言ったもんだから、みんな一斉に噴き出してしまった。

「あはは、そんなもんだと思ったわよ」
「じゃ、平城京は?何年?」

「う〜ん・・・あ、納豆うまいぜ平城京・・だから、710年だ!だろ?!」
「うん、正解。良く分かったよ、川村が歴史にうるさいってコトが」
ボクは笑いを堪えながら言った。

「もう、お前ら・・・いいよ、そうやってバカにしてろ!」川村はグ〜っとグラスを空けて言った。

「違うっちゃ、川村君」恭子がやっと笑い止んで言った。
「みんな、そんな川村君が面白いけ、好きなんよ・・ね?!」
「バカになんかしとらんよ」

「い〜や、違うよ」ユミさんが言った。
「あんたはね、大事な常識が少し足りないの」
「でもね、そこが魅力でもあるのよ、私には・・」

きゃ、ユミがのろけちょる・・・と恭子が混ぜっ返したから、ボクは「し!」と恭子を睨む真似をして黙らせた。
ここは、聞かなきゃ・・ね?!

「あんたはね、それでいいの!」
ユミさんは、赤い顔でトロンとした目で川村を見据えて言った。

「あんたは、細かいコトは気にしない、大らかな感じで」
「たとえ常識が少し欠けてたって、いいんだからさ」

「じゃ、この二人みたいに歴史を語り合えなくっても・・いいのか?」
「当たり前じゃないの、バカ!」

あんたは、あんたでしょ?そのまんまでいいのよ・・そんな、あんたが好きなんだからさ〜と、ユミさんは足を延ばして、目をつぶって天井を向いて言った。

「常識面は、私がフォローしてあげるって」
微笑みながら川村に向き直ったユミさんは、綺麗だった。

そんな風に見つめ合ってる二人を見て、ボクと恭子は目で合図した。

「したら、明日も早いけ・・・寝ようか、そろそろ」
「うん、そうだね」

じゃ、お休み、お二人さん・・・とボクらは言って、返事を待たずに隣の部屋に移動した。


部屋に戻ったボクらは、どちらからともなく笑いだした。

「ユミさん、のろけてたな〜!」
「うん、ビックリしたっちゃ・・あのユミが」

店では、あんなコト言いよったけど・・・ベタ惚れやね、川村君に・・・と恭子は嬉しそうに言った。

「うん、これで川村も言わなくなるんじゃないかな?もう」
「そうやね、あんなベタベタなユミを見てしもたら・・今頃、クク・・」

そうかとボクと恭子は、壁に耳を押しあてたが・・・何も聞こえなかった。
「意外と防音、しっかりしとるっちゃんね」
恭子の小さな声が、ボクをドキっとさせた。

一つの布団を敷き終わって、電気を消して・・・ボクらは、また一枚のタオルケットにくるまった。

「今頃・・・」
恭子が天井を見ながら、言った。

「どうなっとるっちゃろね・・お隣さん」
「いいよ、もう気にしないで寝よう?!」

とは言ったものの、実はボクも気になってしまって・・・でも、考えちゃいけない様な気がして、すぐには眠れそうになかった。

「ね、アンタ・・」
「うち、したいっち言うたら、どうする?」

恭子の囁きは、ボクの頭と同時に下半身にも、ズキっと響いた。
「声、我慢出来る?」
「頑張るけ、ね?」

「お願い、ギュっとして」恭子の体は、もう熱くなっていた。






      隣は何を・・




ボクは恭子をギュっと抱きしめて、キスして言った。

「どうしたの・・さっき、したじゃん」
「ん、でもな・・足りんと。いかん?」