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長浜くろべゐ
長浜くろべゐ
novelistID. 29160
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ノブ  ・・第1部

INDEX|46ページ/80ページ|

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「アンタ、なんちゅう顔しとると」と恭子はティッシュを持って来てくれた。

涙を拭いて、チーンを勢いよく鼻をかんだ。
「うちも・・」恭子も同じコトをした。

ボクらはお互いの顔がおかしくて、笑いだした。

おばちゃんは、そんなボクらを楽しそうに眺めながら手酌で飲んでいた。

「私らも、よう泣いたわ」
「一年に何度か、博多が恋しくてな」

「うちの人は、そんな私が可哀そうや・・言うて」
「でもな、お互い帰るとこなんてないから、二人で頑張ろうな!ってな」

で、最後は今のあんたらみたいに笑って終いやった・・とおばちゃんは言った。

「さて、お風呂、たててこよか・・」
「あ、ボク、やりますから」

ええねん、おばちゃんに任しとき。暫く二人で飲んどきや・・・とおばちゃんは奥に引っ込んでしまった。

「気、利かせてくれたっちゃろね」
「うん、そう思う」

恭子は、ボクの隣に来てキスをしてくれた。
懐かしい、熱いキスだった。

キスしながらボクは恭子を強く抱きしめた。
長いキスの後、恭子は言った。

「アンタ・・・」
「なに?」

「うち、こんなに人を好きになったの初めてっちゃ」
「やけ・・・お願い、好きでおってな?」

「うん、大好きだよ、恭子・・」
ボクらは、また唇を重ねた。

ボクは、胸の内を何もかも話してしまったことで、改めて恭子の存在が大きくなったことを感じていた。

「オレ、恭子と知り合えて、ほんとに良かった」
「これからも、よろしくお願いします」

あはは、アンタのそういうトコが可愛いっちゃ・・と恭子はギュっと抱きしめてくれた。

「さて、もっとベタベタしたかけど・・」

恭子は立ち上がって、テーブルを片付け始めた。
ボクも器を運んで二人で洗っていたら、おばちゃんが戻ってきて言った。

「なんや、もう、お開きか?」
「おばちゃん、飲み足りんのやけどな」

「あ、いいっちゃ、おばちゃん」

もう終わったけ、飲みなおそう・・・と恭子が言うと「ま、ええわ」
「今夜は、これで終いにしよ?!」と微笑んで言った。

「私は、もうちょっと飲むから、あんたら、先にお風呂入ってお休み!」
「え、でも・・・」

「ええんよ、あんたら見てたら、何やうちの人思い出してしもたさかい」
今夜はうちの人と差し向かいでやるわ・・と言った。

「いいと?おばちゃん・・」
「ええよ、お休み、お二人さん」とおばちゃんは手酌で飲んだ。

じゃ・・お休みなさい、とボクらはおばちゃんに言って二階に上がろうとしたら、「お風呂、二人で入っても充分、広いで〜!」とおばちゃんの声が追いかけてきた。

「は〜い。お先に頂きます!」と恭子は明るく言って、ボクの手を引いて階段を上がった。


一旦、部屋に戻って、ボクらは着替えを持って風呂に向かった。
少し迷ったが、おばちゃんがせっかく気を効かせてくれたんだから・・・と、二人で入るコトにして。

「アンタ、先入っとってな!」と恭子はトイレに寄った。

お先したボクは、湯船からお湯をすくって体を流した。
「アッチー!!」やっぱり、おばちゃんはかなり熱い湯が好きみたいだった。

「そうだよな、いくら夏だって言っても、一晩経っても水になってなかった位なんだから」とボクは、今朝の風呂を思いだしていた。

ボクが情けなくも、カランの水でお湯をうめて浴びていたら、恭子が入ってきた。

「なん、入っとらんかったと?」
「うん、熱くてさオレには。今、水でうめてる・・」
「あはは、そうやったっちゃ・・・うちも湯船には入れんかったもん、熱くて」
そう言いながら恭子は、何度かお湯を浴びて、果敢にも湯船に身を浸した。

「ひゃ〜、こりゃ・・罰ゲームっちゃね」と。
「ね、なん?うめるって?」
「え、熱いのを水でぬるくするコト、うめるって言わない?」
「言わんね、うちの方じゃ」と言いながら、ダメっちゃ〜!と恭子は全身を真っ赤にして湯船から飛び出した。

「ふ〜、ムリっちゃ、うちにも」と洗い場にペタンを座り込んだ。
「おばちゃん、よう平気やね」
「うん、血圧、大丈夫なのかな?」とボクは母方の祖母が風呂場で倒れて、そのまま亡くなったコトを思いだして言った。

「あの頃、脳溢血・・多分、血圧だろうってオヤジが言ってたからね」
「それ、明日言った方がいいっちゃない?おばちゃんに」
「でもな、熱いお湯に入るのが、何よりって人もいるからね」

そうやね、好みはそれぞれやけね・・と恭子は両足を投げ出す格好で、手で顔をパタパタしながら言った。

「でも、オレ聞いてみるよ、高血圧かどうか」
「うん、そうしちゃり?」
うち、おばちゃん好きやけ、長生きして欲しいけね・・と。

ボクらは、シャワーで体と頭を洗い、結局、湯船に浸かることは出来なかった。

うめて入ろうかな・・とも思ったが、後から入るおばちゃんのために、そのままにして風呂を出た。

それでも夏だったから、シャツを着たそばから汗が出た。
「はよ、涼しい部屋に行こう?」
「うん、暑いね、ほんと」

ボクらは濡れた髪もそのままに、部屋に上がった。
途中、恭子はまたトイレに寄った。

部屋を出る時にクーラーをつけておいたお陰で、部屋は涼しかった。
少しして、恭子も部屋に戻って来た。

「ふ〜、汗が引いていい気持ちやね」

恭子は髪の下にタオルを敷いて、畳に横になった。
ボクも、ゴロンと大の字になって天井を見上げた。

伸ばした手の先に、恭子の頭があった。
ボクは、濡れた恭子の髪をさわった。

「くすぐったいけ、止めり」と恭子は言ったが、声は笑っていた。
「な、アンタ・・」

「ん?なに?」
「ユミ達、うまくいったっちゃろかね」

「あ、そうか・・今日あたり川村も帰ってるはずだもんな、合宿から」

いきなり、恭子はガバっと起きて、ボクの胸に乗っかって言った。
「ね、電話してみらん?ユミに」
「いつ?」

「今!下の帳場から」
「止めとけよ、帰っていきなり・・ってコトはないよ、多分」

「だって、心配にならんと?あんたは」
「あのさ、そりゃ確かにユミさんはバージンかもしれないけどね・・」
「大人だよ?いいじゃん、放っといてやれよ」

え〜、やけど、うち心配やけん・・と恭子はボクの胸に横顔を押し付けて言った。

そのうち、ボクの乳首にキスしてきた。
「・・・恭子」
「大丈夫っちゃ、静かにするけ」

「でも、うち、まだ出血大サービス中やけね」
さすがに、ここではタオル洗う訳にもいかんし・・・と体の向きを変えて、パンツの上から掌でボクを撫でだした。





       一つの布団





お風呂上がりで、クタっとなっていたボクの分身は、恭子の愛撫ですぐにカチカチになってしまった。

「恭子・・」
「いいけ、暫くさしちゃり」

恭子はボクの乳首を舌で舐めながら、パンツの上からの愛撫を止めなかった。

「たってしもたね、アンタの」
「そりゃ、そんなコトされたら・・」

「うちな、もう終わりそうやけど、ここで入れる訳にはいかんけ」

そう言って恭子は、起き上ってボクの足の間に座った。

「飲んでも、良か?」
「嬉しいけどさ、恭子は・・物足りなくないの?それで」