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長浜くろべゐ
長浜くろべゐ
novelistID. 29160
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ノブ  ・・第1部

INDEX|24ページ/80ページ|

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「ん?なんでしょ・・」

「男の子ってさ、好きになったら最後までいかないと・・・ヤなもの?」

え?最後って・・あの最後のコト?ボクは面食らってしまった。

「そ、エッチの最後の段階」
「いわゆる、Cっちゃね」

つまり、セックスのことなんだな?

「そりゃ・・ね、好きな女の子だったらしたいんじゃないの?男はみんな・・」

「そうなの?みんな?」
「うん・・多分、みんな」

「そうなんだ、やっぱり・・・」
ユミさんのため息が、ダイニングに広がった。

「付き合い始めて、そろそろ二ヶ月なんだけどね・・」
「最近言ってくるのよ、アイツ」

「どこまで、いったと?アンタ達・・」恭子が言った。

「そ・そんな、どこまで、なんて・・・」

可愛いな、赤くなって俯くユミさんも。

「キスとかは?」と恭子。
「それは・・とっくに・・」

「じゃBは?」
「・・・ぼちぼち」

「なら問題無いっちゃ。嫌やないっちゃろ?ユミも」
「もちろん、私もアイツの事は好きだから、いや・・ってワケじゃないんだけどさ」
なんか、焦ってる感じなんだよね、アイツ・・とユミさん。

「ね、オガワっち・・させないと男って、嫌いになっちゃうの?」
「いや、そんなコトは無いと思うけど?」

「じゃ、何で焦るの?なんで?!」

ユミさんは大真面目だったから、ボクも笑うことは出来なかった。


「う〜ん、男の立場から・・でいい?」
「うん、いい!聞かせて?!」
ユミさんは、身を乗り出してきた。

恭子は、横で微笑んで聞いていた。

多分、男ってね・・とボクは話した。

女の子を好きになると、男はきっとその子とベタベタしたくなる。そして、キスして、その先・・・も。

それは、自分の欲求を満たす目的・・・も否定は出来ないけど、それより何より、彼女も自分を好きでいてくれる、二人の気持ちは同じなんだっていう安心感が欲しい。
そしてその、いとおしいって気持ちが彼女を抱きしめたりキスしたりっていう行為に現れるんだと思うと説明した。

「だから、お互いに好きなのに拒まれると、男はガッカリじゃなくてさ、寂しいんだよね」
「なんでオレじゃダメなのかな・・とか色々考えちゃうから」

「そうなんだ・・・」
ユミさんは、言った。
「じゃ、私が拒んでると、アイツは寂しいの?」
「うん、そうなんじゃないかな」

「オレだって、好きな子にはキスしたい、抱きたいと思うもん」

「オガワっちって、ストレートだね・・意外」

「あ、ごめん、言葉がきつかったかな?」

「ううん、正直に言ってくれてありがとう。でもね・・私ね、結婚するまでは・・・ってお婆ちゃんにきつく言われててさ、もう死んじゃったんだけど・・」
「だから、高校時代の同級生とかが済ませたって話聞くと、なんで?ってずっと不思議だったのよ」

「ね、男の人は嫌じゃないの?結婚して、奥さんがその・・初めてじゃなかったら」

う〜ん、おれは別に・・としか言えなかった。
ユミさん、そんなことまで考えてたんだ。

「じゃユミは、どこの誰かも分からん未来のだんな様の方が川村君より大事なん?」と恭子が言った。
「そうなんだよね、私も、矛盾してるんだよね」

アイツのこと、好きなんだよ・・・と。

「でもさ・・いいのかな、なんて思っちゃうんだ」
「そりゃアイツも・・体だけが目的、なんてコトはないんだろうけど・・」

川村君、ユミのこと、ほんとに好いとるよ、見てて分かったもん・・と恭子が言った。

「うん、それは分かってる、私も同じだから・・」

「亡くなったお婆さんの一言だけやなかろ?躊躇してるんは・・どう?」

ユミさんはまた、顔を伏せて言った。

「怖いのかもしれない、私・・」
「妊娠とか性病が?」恭子、いきなりの直球だよ、それは。

「ううん、違う」
「そんなの、お互いに気を付けてれば、平気でしょ?」

違うのよ・・・ユミさんは黙ってしまった。

「単純なのかもしれないけど、ほら私ってずっと女子高だったでしょ?」
「免疫ないって言うか、男の子ってよく分かんなくてさ」

良かったっちゃ・・と恭子が言った。

「怖いなんて言うけ、うち、昔何か嫌な思い出かなんかがあったんかなって心配したっちゃ」

「ううん、そんなの無いよ」
「ただ私、一人っ子だし、家族で男って父親だけでしょ?」

「昔からうるさかったんだよ、うちの両親」

高校生まで門限7時だよ?信じられる?とユミさんは言った。

「でね、事あるごとに言われてたの」
「男はみんな同じだって。結局、体が目的で近づいてくるんだって」

「ふ〜ん、刷り込みやね」恭子はメンソールを持ってきた。

「え、恭子・・・タバコ吸うの?!」
「うん、吸うっちゃ」

知らなかった、今まで私の前とか学校では吸わなかったよね・・とユミさんは驚いて言った。

「時々、イタズラ程度に吸うだけやけ」
恭子はセーラムに火をつけて、フー・・と煙を吐いた。

ユミは、怖いんやね・・セックスそのものの恐怖もあるんかもしれんけど、その後やろ?怖いんは・・・と恭子は言った。

「ユミ、前に言いよったやん、男と付き合うのって初めてって」
「へ〜、そうなんだ」

「当たり前でしょ、いいとこのお嬢さんってずっと言われ続けてきたんだから」
「そうやね、いいとこのお嬢さんって看板背負ってたら男とは付き合えんね・・」

でも大学入って自由な一人暮らし始めて・・好きな男が出来た、向こうも自分を好いとるし・・さて、どうしようかって感じ?

「うん」ユミさんは黙って聞いてた。

「キスして、Bして・・当然、男は盛り上がるわな、グワ〜っと!」
でも、今度は女が決断がつかんで迷っとる・・・と恭子は続けた。

「ね、恭子、何かイケイケなんだけど・・あ、ひょっとして酔ってる?」
「飲んだけど、酔ってないっちゃ」

「うちが酔ったら・・・ユミには見せられんもん」
「そう?ならいいんだけど」

「ね〜恭子、私、どうしたらいい?」

「してしもた後に、振ったりふられたりなんて事を心配してるんやったら、どうぞバージンを大切に・・・やね、うちの結論は」
「・・・・・」

「ユミは男と付き合うんが初めてやから、分からんかもしれんけど」
「ふったり、ふられたり・・・そんなもんなんやけ、男と女は」

この人とず〜と一緒におりたいと思っても、世の中、そうそううまくはいかないもんなんだ・・と恭子は得々と語った。

「好きやった男のアホなとこが見えて醒めてしまったりな、嫌いになったり、なられたりすることもあるんやけ・・一寸先は、闇やね」

おいおい、フォローになってないんじゃないの?とボクが言ったら、ちょっと黙っとき!と言われてしまった。

「そやけな、うちは好きになった男には、一生懸命になるんよ・・」
「正直な自分を見せて、相手もよく見て・・それでも好きやったら、続くやろ?!」

「お互いに好かんとこがあったら、言えばいい。言うて直らんかったら怒ればいいっちゃ・・それでも変わらんかったら、バイバイやけ」

ほ〜、恭子さん、なんだかカッコいいぞ。

「そういうもんなの?恋愛って」
「ほかは知らんよ、うちはって事やけね」

な、ユミ、もう一遍考えてみ?