ノブ ・・第1部
「シャワーって、あのお風呂の?」
「そう、角度が難しいんやけどな、クリちゃんに当たると、感じるっちゃ」
へぇ・・面白いコトするんだな、女の子って。
色々、試したと恭子は言った。
「でもな、なかなか無いんよ、ちょうどいい快感グッズは」
「あはは、快感グッズか・・いいな、ソレ」
やから高1の合宿の夜、これからセックス出来る!と思った時は、待ってました!の気分やったと言ったから、ボクはまた爆笑してしまった。
「いいな、待ってましたか。そんなにしたかった?」
「うん、したかったし興味もあったと」
「それが、憧れてた先輩と・・やろ?」
「期待するな、言う方が無理と思わん?」
うん、そうだろうな、長年夢見てたセックスだったんだろうからね。
「期待はあんまり大きくない方がいい、って知ったっちゃけどね、結局」
恭子は、笑いながらうなだれる真似をした。
「セックスで、入れて気持ちいいって初めて思ったんは、例のQ大生の後に遊んだ相手の時やったね」
「その人、いくつ位だったの?」
かなり年上の遊び人で博多のディスコでナンパされて、そのまま中洲のラブホテルで・・と悪びれることなく恭子は言った。
「あの頃、ちょっと自棄になっとったけね、うち」
「もう、どうでも良かったと。早く次の男を捕まえたくてな」
その遊び人は優しかった、決して無理は言わなかったし、女として扱ってくれた・・セックスもうまかったしと言った。
「でもな、長くは続かんやったね、結局」
「なんで?優しかったんだろ?」
「うん、だらしなかったっちゃ、性格が」
「仕事は長続きせんし、お金にもだらしないし・・要するに性根が座っとらん男やったんよ」
「で、うちが捨てたと」
「その辺で、目が覚めたんやろね」
「そこからは真面目に戻って、勉強したっちゃ」
そうなんだ・・人に歴史あり、だな。
「で?アンタは?」
「ん?なに?」
アンタの初体験は?と恭子は聞いてきた。
来たか、この質問。
ボクは中学校時代の思い出を、年上の先生とのコトを全部話した。
「ひゃ〜、さすが東京の中学生は・・ススんどったんやね!」
「いや、多分違うと思う」
こんな経験したヤツは、そんなに多くないんじゃないか?とボクは言った。
他のヤツのコトは、知らないけどね。
「アンタ、最高の経験やんか、それって」
「そうなの?」
当たり前っちゃ!と恭子は起き上って言った。
「だって考えてみ?!お互いに経験なかったら、苦労するっちゃけね」
「片方が経験者、それもベテランやったら、始めからうもういくやろ?」
まぁね、そう言えばそうだけど。
「恭子はどう思った?オレの話し聞いて」
「うん、羨ましいっちゃ!その先生が・・・」
「その先生、アンタが可愛かったんやろな、分かる気がするもん」
「そうなのかな・・」ボクは、先生との淡白なキスの話しをした。
初めて舌を入れるキスをしたのが恵子だったことは、伏せたが。
「好きずきやろね、それは」
「うちは、ゴッツいのが好きやけど」
うちら、お互いに早熟やったんやね・・と恭子はボクに寄り添ってきて、腰かけてたボクを押し倒した。
「うちは、アンタより二つ上、アンタ、年上に縁があるっちゃんね」と言いながらキスしてきた。
「ふ〜、感じるっちゃ、アンタのキス・・・最高やけ」
「有難う、色々、勉強させて貰ったお陰かな?」
あはは、いい勉強やったね・・と恭子が言った。
女友達
ボクらがベッドでキスしてた時、電話が鳴った。
「ん?だれやろ?」
恭子はベッドの横のサイドテーブルの上の電話を取った。
「はい、もしもし・・」
「あ、ユミ?」
「・・うん、いるっちゃ、オガワ君も一緒やけ」
「うん、いいよ・・そしたら待っとくね!じゃ〜ね!」
電話を切った恭子は、振り返って言った。
「ユミ、来るって。これから」
「あ、オレ、いていいの?」
何遠慮してるっちゃ、当たり前やんか!と恭子は、またキスして言った。
「アンタは、うちの大事な彼氏なんやけ・・大きな顔でおってね?!」
「・・ならいいけど」
そう言いながらも、ボクは嬉しかった。
大事な彼氏か・・悪くないよね。
「さ〜て・・」
恭子は起き出してダイニングに行った。
「ほれ、アンタ、ベッドなおして、ドア閉めとって!」
「あ、はいはい・・」
恭子は急に忙しく動きだした。
「あ、いけん、ブラ付けな・・」
寝室の隣の部屋に行った。
「え、何で?恭子、嫌いなんじゃなかったっけ?」
「嫌いやけど、ユミが見たら驚くやろ?」
「そうなんだ・・」
「そうっちゃ、あの子、処女やけ」
え・え〜?!ボクは驚いて声を上げてしまった。
「そうなの?」
「うん、処女・・新品」
新品って、なんだよ、じゃ、オレたちは中古か?
ボクは爆笑してしまった。恭子の言い方が面白すぎたから。
「バカやね、新品は馴染むまで時間がかかるっちゃ!」
「ええ中古の方が、新品よりええこともあるんやけ・・ね!」
恭子は隣の部屋からシャツを下げながら出てきた、まじめな顔をして。
「アンタはガッカリやろけど、しばらく我慢し?!」
「うん、我慢する」
ボクは笑いながら言った。
暫くして、ピンポ〜ンとチャイムが鳴った。
「は〜い・・」
恭子が玄関を開けて、ユミさんが入ってきた。
「よ、オガワっち、元気そうだね!」
「うん、こんちは」
あっついね〜、今日も・・とユミさんは勝手知ったるという感じでダイニングの椅子に座って、手で顔をパタパタ扇いだ。
「紅茶?コーヒー?」
「あ、構わないで?!・・・冷たいコーヒーがいいかな」
なんだ、構わなきゃならないんじゃん・・ボクはおかしかった。
「なに・・オガワっち、何うけてんの?」
「だって、構わないでのすぐ後に、冷たいコーヒー・・だったからさ」
「いいのよ、暑いんだから・・」ユミさんも笑った。
「ちょっと、待っててね、今おいしいの淹れちゃるけね」
恭子はサーバーに氷をギチギチに入れて、ドリップでコーヒーを落とした。
コーヒーは、冷たくて香り高くて美味しかった。
「あれ、うまい・・コレ」
「ふふ、美味しいやろ〜、最近は豆買ってきて淹れてるっちゃけ」
うん、美味しい・・。酔い覚ましにもいいな。
恭子もテーブルについて言った。
「で、何ね、相談って」
「うん、川村のことなんだけど・・・」
ユミさんはグラスに目を落として、言い難そうだった。
「あ、オレ、席外そうか?」
「いい、オガワっちにも聞いてほしいから」
ユミさんは、上目遣いにボクを見た。
「ね、アンタ達、うまくいってるの?あれから」
「あは、うちら、お誕生会の日からズっと一緒におるっちゃ!ね、アンタ?!」
「う・うん・・・」
ボクは顔が赤くなるのが分かったが、ユミさんはそんなボクらを見てため息を付いた。
「は〜、いいよね、あんたらはさ、幸せそうで」
「どうしたと?ユミかて、うもういっとるっちゃろ?川村君と」
そうなんだけどね・・・とユミさんは、またため息をついた。
「確かに、うまくはいってるんだけどね・・・ね、オガワっち?!」