笑撃・これでもか物語 in 歯医者
「チャチチュチェチョの歯石取り遊びチマチョって……、オモレー! これ、感動ものじゃ!」
高見沢は歯石を取られながら、このチャチチュチェチョのお姉さんがメッチャ気に入った。
しかし、まことに残念なことだが、こんなチャチチュチェチョの感動はそう長くは続かなかったのだ。
歯科助手のナオちゃんは一生懸命に高見沢の歯を研磨したり、金棒で引っかいたりして歯石を取ってくれている。しかし、高見沢は「うっ」と苦しくなる。
そうなのだ。歯にかけている水が……、口の奥の方に溜まってきたのだ。
バキュ−ム用のパイプは一応口には突っ込んである。だがその位置が適正でなく、バキュームがうまく働いていない。
「ゴクリ」
高見沢は苦しくなって、まず第一回目の溜まった水を飲み込んだ。
チャチチュチェチョのナオちゃんは、もう歯石取りに没頭し切りのようだ。あっという間に、またまた水が溜まってくる。そして、それにシンクロナイズするかのように、どんどんと苦しくなる。
「ゴックン」
高見沢は第二回目の溜まった水を飲み込んだ。
できるだけ鼻で息をして、苦しくならないようにはしている。しかし水は容赦なく、どんどんと喉近くに溜まってくる。しばらくは辛抱できるが、すぐに苦しくなってしまう。
高見沢はまた「ゴックン」と第三回目の水を飲み込まざるを得なかった。
こんな事がもう何回繰り返されたことだろうか。
作品名:笑撃・これでもか物語 in 歯医者 作家名:鮎風 遊