笑撃・これでもか物語 in 歯医者
ドクトルはその辺にあるクチャクチャのメモ用紙をビリっと破る。そして出の悪くなったボ−ルペンで一〇〇US$と書き、サインをして、高見沢に手渡してくれた。
高見沢はまたまたこれにも正直驚いた。
「勘定は、完璧に丸い数字。それに、このクチャクチャの紙っ切れが領収書かよ」
しかし高見沢は、こんな自由奔放なやりとり、そしてそのいい加減さにメチャクチャ感動をしてしまう。
世界は実に広い。だが、これほどまでに大雑把のところは世界中のどこにもない。
「こんなメキシコが、最高に愉快で面白いなあ」
高見沢は思わずそう呟いてしまった。
まさに愛すべきメキシコ。そして、自然と高見沢の口をついて出てくるのだった。
「ビバビバ、メヒコ!」 (メキシコ、万歳!)
作品名:笑撃・これでもか物語 in 歯医者 作家名:鮎風 遊