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笑撃・これでもか物語 in 歯医者

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 一週間後、高見沢は、四海兄弟を地で行くヤクザっぽいが人なつっこいドクトル、そして妖艶な歯科助手、この二人に再会するのが面白そうで、懲りずに訪ねて行く。
 その上に、ドクトルに手渡した金のクラウンがどうなっているのかも気に掛かる。

 高見沢がドアを開け、「ブゥエノス・タルデス」(こんにちは)と声を掛けると、あの艶々のベッピンさんがまたまた現れ出てきた。
 今日はスケスケルックで……、よりセクシー。高見沢を愛想良く、そしてねっちりと迎えてくれた。その後、いつの間にか古い友達のようになってしまったドクトルに再会した。そしてドクトルは、早速修理したという金のクラウンを見せてくれたのだ。

「ええっ!」
 高見沢はそれを見るなり自分の目を疑った。
 クラウンが……えらく薄っぺらになってしまっているのだ。先週手渡した時は、もう少し厚みがあったようにも思う。
 それに、どうも色調が……、金色から色あせた色に、そう、それは真鋳色に変わってしまっているようにも見える。

「ケパソ?」(どうしたんだよ?)
 高見沢はドクトルを問い詰めた。
 するとドクトルから、「これくらいの厚みの方が歯にしっくり来るよ。それに、硬度も上げておいたから」と、もっともらしい返事が返ってきた。

 一方、妖艶な歯科助手はと言うと、指に一杯のゴ−ルドの指輪をはめ込んで、ドクトルの背後から高見沢に嬉しそうに微笑んでくるではないか。

 高見沢はその指輪を見ながら、「あ〜あ、金のクラウンが指輪に。シャ−ナイなあ。その成分の変わった、硬い真鍮のクラウンを填めてくれ」とドクトルに渋々告げた。

 しかし、やっぱり現実には硬過ぎて、そのクラウンはしっくりこなかった。だが高見沢は不思議に、そんなに不満ではなかった。
 こうして治療はとりあえず終わったのだ。